【5月22日 AFP】日本とカナダで新型インフルエンザ「インフルエンザA(H1N1)」感染者が増加する中、世界保健機関(WHO)は21日、警戒水準を世界的大流行(パンデミック)を示す最高度の「フェーズ6(世界的大流行、パンデミック)」に引き上げるかどうかについて、弱毒性を理由に引き上げを見送った。

 新型インフルエンザは日本やカナダで人から人への感染が広がっている可能性が指摘されているが、WHOのマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長は、同日のWHO総会で、「南半球では、メキシコや米国で見られたような持続的な感染が起こっていない」などと述べ、フェーズ6への引き上げに慎重な姿勢を見せた。

 新型インフルエンザの感染者数は全世界で1万人を超え、80人以上が死亡している。ただ、専門家らの間では新型インフルエンザは症状が比較的軽く、季節性インフルエンザと変わらないとして、警戒度引き上げを疑問視する声が高まっている。実際、メキシコでの死者の多くはもともと他の疾患を抱えた患者で、これは季節性インフルエンザでもよく見られる現象だ。

 仏公衆衛生高等研究院(EHESP)のAntoine Flahaut氏は、警戒度引き上げに求められる条件は整っているとしつつ、「WHOはそれは現状には適していないと感じている」と指摘した。(c)AFP/(c)AFP/Alexandra Troubnikoff