【5月13日 AFP】イスラエルを訪問しているカトリック教徒巡礼者らは、ヨルダン(Jordan)川で洗礼を受ける際に、神の意図とはかけはなれた経験をするかもしれない。環境保護団体Zalulは12日、ヨルダン川に入るのは汚水槽で泳ぐようなものだ、と指摘した。

 ニュースサイトYnetによると、ZalulのEzer Fishler氏は、「この場所は、キリスト教徒とユダヤ教徒の両方にとって非常に重要な場所だ。しかし、水質はほとんど下水と同じだ」と語った。

 歴代法王として初めて聖地を訪問したローマ法王ベネディクト16世(Pope Benedict XVI)をたたえ、イスラエル政府は、死海(Dead Sea)付近のヨルダン川の南側、カシール・アル・ヤフド(Qasr al-Yehud)に洗礼のためのプールを開設した。

 ローマ法王を追ってイスラエルを訪れた数千人の巡礼者らは、イエス・キリストが洗礼者ヨハネ(John the Baptist)から洗礼を受けたとされるこの場所を訪れるとみられる。

 しかし、環境活動家らは、この川に入ることは本物の盲信であり、健康が危険にさらされると指摘する。

 イスラエルやヨルダン、レバノン、シリアによる大規模なかんがい事業で、ヨルダン川は、ほぼ消滅しかかっており、現在は泥が多く、悪臭のする水がわずかに流れる川になった。そのため、死海の水位も劇的に低下した。

 ガリラヤ湖(Sea of Galilee)以南のヨルダン川全域が、イスラエル軍により立ち入り禁止となっているが、観光客の訪問時や休日には、カシール・アル・ヤフドはときおり開放される。

 最後にオープンしたのは復活祭(イースター)の時だったが、Ynetによると、訪問したキリスト教徒5000人のうち、川に入ろうとした者はひとりもいなかったったという。(c)AFP