【5月8日 AFP】ローマ法王ベネディクト16世(Pope Benedict XVI、82)は8日、8日間の日程で中東の聖地巡礼を開始し、最初の訪問地となるヨルダンに到着した。

 首都アンマン(Amman)のクイーンアリア(Queen Alia)国際空港には赤じゅうたんが敷かれ、アブドラ・ビン・フセイン国王(King Abdullah II)とラニア王妃(Queen Rania)が法王を出迎えた。また、国王とローマ法王の顔写真が印刷されたTシャツ姿のキリスト教徒ら数百人も、法王の到着を歓迎した。

 空港で行われた歓迎式典で、法王は今回の歴訪は「イスラム社会に対する深い尊敬の意を示す機会だ」と述べ、「イスラム教が掲げる美徳の正しい理解の促進に務めている」として、アブドラ国王に敬意を表した。また、宗教の自由は基本的人権であるとの認識を示し、中東のみならず世界の全地域において、すべての人間の権利と尊厳が守られることを切望すると語った。

 法王が「平和の巡礼」と呼ぶ今回の中東歴訪の訪問先は、主にヨルダンとイスラエルで、ベツレヘム(Bethlehem)とヨルダン川西岸(West Bank)にも立ち寄る。

 法王自身は聖地を旅する魂の巡礼と形容しようとも、中東歴訪が政治および外交面にさまざまな影響をおよぼすことは避けられない。

 法王の訪問地となっている地域では、すでに複数の政治団体や宗教団体が、法王に11億の世界カトリック人口を率いる長として、歴訪が単なるリップサービスに終わらないことへの期待を表明している。

 ヨルダンでは全人口600万人中、約20万人がキリスト教信者だ。だが、野党・イスラム行動戦線(Islamic Action Front)は、法王が2006年に行ったイスラム教の聖戦(ジハード)を批判したとされる演説について謝罪しない限り、法王の訪問を歓迎しない意向を示している。

 一方、次の訪問国イスラエルは、法王の訪問を心待ちにしている。イスラエルが前年末から1月にかけて、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で実施したイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)の掃討作戦では、パレスチナ人1400人、イスラエル人13人あまりが犠牲となり、国際社会から非難を浴びた。このことから、イスラエルは法王の訪問でイメージを挽(ばん)回したいところだ。(c)AFP/Ahmad Khatib