【5月5日 AFP】世界保健機関(World Health OrganizationWHO)は4日、新型インフルエンザ「インフルエンザA(H1N1)」の感染が確認されたのは21か国の1085人で、うち26人が死亡したと発表した。

 また、WHOのマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長は、米ニューヨーク(New York)の国連(UN)幹部に対し、新型インフルエンザは拡大しているが、警戒レベルをパンデミックを意味するフェーズ6に上げるかは分からないと述べた。

 さらにチャン事務局長は、約5000万人が死亡した1918年のスペイン風邪の際にみられた傾向から考えると、流行の第2波はより致死性の高いものになる恐れがあると指摘した。

 国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は、ニューヨークで開かれた国連の会合で、メディアが不安をあおることは容認できないが、新型インフルエンザウイルスには分かっていない点が多い以上、警戒を緩めることはできないと述べた。

 新型インフルエンザは典型的なインフルエンザとは異なり下痢や、若い患者には重い肺炎を引き起こすことが多いが、その理由は分かっていない。

■メキシコ、企業活動再開へ

 メキシコのフェリペ・カルデロン(Felipe Calderon)大統領は、ウイルスの拡大をある程度阻止できたとして、6日に国内の企業活動を再開させる方針を示した。しかし専門家の間には、ウイルスが再び猛威をふるうおそれを懸念する声もある。

 メキシコは4日、新型インフルエンザによる死者が26人になったと発表した。

■各国の対応

 50州のうち36州で286人の感染が確認され、うち1人が死亡した米国のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は、あらゆる結果を想定して準備することが重要だとして引き続き警戒を呼び掛けた。

 ポルトガルでは4日、最近メキシコから帰国した女性が同国で初めて新型インフルエンザに感染していることが確認された。フランスとイタリアでも新たに2人が、英国ではメキシコへの渡航歴がない7人が新たに新型インフルエンザウイルスに感染していることが発表された。

 中国は4日、メキシコにいる中国人約200人を帰国させるためにチャーター機を送った。

 北京(Beijing)にあるメキシコ大使館は、新型インフルエンザの症候がないにもかかわらず北京、上海(Shanghai)、南部の広州(Guangzhou)などで約70人のメキシコ人を隔離したのは差別的だとして中国を批判している。(c)AFP/Herve Couturier

【参考】厚生労働省のホームページ