【5月4日 AFP】アフリカ・マラウイで、米歌手マドンナ(Madonna)さんが養子縁組を申請している女児の父親だという人物が3日、AFPの電話インタビューに応じ、「父親は私だ。娘は自分で育てたい」と述べ、マドンナさんの養子縁組に反対する意思を示した。

 マドンナさんは3月、3歳の女児チファンド・マーシー・ジェームズ(Chifundo Mercy James)ちゃんの養子縁組を申請した。だが、マラウイの高等裁判所は、子どもの人身売買を助長しかねないとしてこれを却下。マドンナさんは最高裁判所に上訴しており、4日に審理が行われる。

 これに先立ち、インタビューに応じたマーシーちゃんの父親と主張するジェームズ・カムベワ(James Kambewa)さん(24)は、「弁護士を雇う金はないが、マドンナさんの養子縁組を差し止められるよう、弁護してくれる人を探している」と語った。

 カムベワさんは、妻がマーシーちゃんの出産直後に死亡したため、義理の両親から娘を殺したのは自分だと責められ、マーシーちゃんを手放すしかなかったと語った。その時以来、マーシーちゃんには会っていないが、マドンナさんが養子縁組を申請したときに、マーシーちゃんが自分の娘であることを知り、自分で育てると決心したという。

 マラウイの商業都市ブランタイア(Blantyre)で働くカムベワさんの月収は、約80ドル(約8000円)程度なため、政府が後援する人権団体に相談したところ、貧しい国民を対象に弁護士による無料法律相談を行っている政府機関「Legal Aid」を紹介された。カムベワさんは現在、同機関からの返答を待っている。

 一方、マラウイの慈善団体「アイ・オブ・ザ・チャイルド(Eye of the Child)」のMaxwell Matewere氏は、カムベワさんの心情は理解できるが、DNA鑑定でマーシーちゃんとの親子関係が証明されない可能性もあり、現時点では支援できないと話し、まずは最高裁の決定を待つべきだろうと語った。(c)AFP