【5月3日 AFP】(一部更新、写真追加)エジプトの首都カイロ(Cairo)などで3日、政府が新型インフルエンザの流行阻止対策として、ブタの全頭殺処分を指示したことに抗議する養豚業者らと機動隊が衝突した。

 AFP特派員によると、市内モッカタム(Moqattam)の貧困地区で、若者を中心とする住民ら300~400人が殺処分に対する抗議デモを行っていたところ、警官隊がブタを連れ去りに到着したため、住民らは石や瓶などを投げつけた。これに対し、警官隊はゴム弾の発砲や催涙ガス散布などを行った。

 医療関係者によると、この衝突で、少なくとも住民8人が負傷した。また、治安当局の話では、警察官7人も軽傷を負ったという。

 一方、半国営の中東通信(MENA)によると、カイロ近郊ハンカ(Khanka)やバサティーン(Basateen)でも同日、農民と機動隊との衝突があった。

 今回の新型インフルエンザについては、ブタから人への感染を示す確証はないと世界保健機関(World Health OrganisationWHO)が発表しているにもかかわらず、エジプト当局は2日から全土で計25万頭全頭の殺処分を開始した。

 豚肉を食することを禁じるイスラム教徒が多数を占めるエジプトで、養豚業を営むのは、主に少数派のキリスト教系コプト教の信者たちで、豚の殺処分により生活手段が奪われると抗議している。政府は養豚業者らに対し、補償金の支払いを約束している。

 エジプトの人口はアラブ世界最多。これまでに、新型インフルエンザ「インフルエンザA型(H1N1)」の感染例は伝えられていないが、2006年以降、高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)で26人の死者を出している。(c)AFP

【参考】厚生労働省のホームページ