【5月3日 AFP】米航空宇宙局(NASA)の水星探査機「メッセンジャー(MESSENGERMErcury Surface, Space ENvironment, GEochemistry and Ranging)」が2008年10月に成功させた2回目のフライバイ(天体への接近通過)の際にとらえた画像やデータを分析した結果、水星は予想以上にきわめて活動的な惑星であることが判明した。研究チームが4月30日、発表した。研究結果は1日付けの米科学誌「サイエンス(Science)」に掲載されている。

 メッセンジャーに搭載された撮像装置は、かつて火山活動があった証拠とされる直径692キロの巨大なレンブラント盆地(Rembrandt Basin)の詳細な写真など1200枚以上の水星表面の画像を撮影した。

 水星の地表の大半は厚い火山灰に覆われているが、レンブラント盆地は火山灰に覆われることなく露出している部分だ。「この盆地は39億年前、後期重爆撃期の末期に形成されたものだ」と、研究チームを率いるワシントンD.C.(Washington D.C.)のスミソニアン研究所(Smithsonian Institution)のトーマス・ワッター(Thomas Watters)氏は話す。

 メッセンジャーは水星の赤道上空201キロを時速2万3818キロで通過し、画期的な最新技術による撮影装置とレーザー高度計を使用して、これまで知られていなかった水星表面の30%を観測。1度目のフライバイと、NASAの探査機マリナー(Mariner)10号が1974年と1975年に3度にわたって水星に接近した際に集めたデータと合わせると、水星の地表約95%が調査されたことになる。

 太陽系の惑星の中でもっとも太陽に近い水星は、太陽の強力な引力と高レベルの放射能の影響を受けるため、その調査には大きな危険が伴う。そのため、地球から比較的近いが、もっとも謎の多い惑星とされている。

 08年1月のフライバイの際に観測したデータで、隕石クレーターが多数ある広大な平原の多くが火山活動で流れ出た溶岩から形成されたことが分かった。また、水星には鉄とニッケルの核があり、この核が水星に磁場を生み出していることも分かっている。

 メッセンジャーは今年9月29日に3回目のフライバイを実施する予定。(c)AFP