【5月2日 AFP】香港(Hong Kong)の曾蔭権(ソウ・インケン、Donald Tsang)行政長官は1日、上海(Shanghai)経由で香港に入ったメキシコ人男性(25)が新型インフルエンザ「インフルエンザA型(H1N1)」に感染していることを確認したと発表した。

 この男性は30日に中国東方航空(China Eastern Airlines)MU505便で上海から香港に到着。発熱を訴えて同日夜病院に運ばれ、検査の結果1日に陽性と判断された。容態は安定しているという。この男性と一緒に旅行していた2人と、香港の友人1もプリンセス・マーガレット病院(Princess Margaret Hospital)に隔離された。

 香港の周一嶽(York Chow)衛生局長は、歓楽街ワンチャイ(Wanchai)地区にある、男性が滞在したメトロパークホテル(Metropark Hotel)を7日間封鎖し、宿泊客約200人と従業員約100人をホテルに隔離することを明らかにした。隔離された宿泊客らには予防効果が認められているタミフルを処方するという。ホテルの周囲では、非常線を張るマスクをつけた警察官や、青いガウンとマスクを着用した保健関係者がホテルに入る姿が見られた。

 さらに周局長は、メキシコ人男性と接触したタクシー運転手2人と、上海からの航空機に乗り合わせた142人の乗客と連絡を取ろうとしていると述べ、乗客や乗務員に名乗り出て健康診断を受けるよう呼びかけた。

 香港政府は2日早朝声明を出し、ホテルにとどまることを拒否した宿泊客12人を新たに「隔離キャンプ」に指定した麥理浩夫人度假村(Lady MacLehose Holiday Village)に移動させたと発表した。

■感染拡大阻止に全力

 中国の国営新華社(Xinhua)通信は2日、中国の衛生当局は香港で新型インフルエンザの感染が確認されたことを受け、感染拡大防止措置を取っていると報じた。

 2003年にSARSSevere Acute Respiratory Syndrome、重症急性呼吸器症候群)に見舞われた香港は鳥インフルエンザを警戒していたが、新型インフルエンザに対しても空港などでの画像体温測定装置による監視など厳しい予防措置をすでに実施し、感染地域から香港に入った人がウイルス感染の兆候を見せた場合には隔離する方針を示していた。

 香港の保健当局は不要不急のメキシコへの旅行を取りやめるよう呼びかけている。(c)AFP/Polly Hui

【参考】厚生労働省のホームページ