【5月2日 AFP】汚職事件があとを絶たない日本の政界において「ミスター・クリーン」の異名を持つ野党・民主党(Democratic Party of JapanDPJ)の岡田克也(Katsuya Okada)副代表(56)は、将来の首相候補との呼び声が高い。

 今年9月までに実施される衆議院選挙では、民主党が与党自民党(Liberal Democratic PartyLDP)から政権を奪取することが予想されている。しかし小沢一郎(Ichiro Ozawa)代表の公設秘書が、準大手ゼネコン西松建設(Nishimatsu Construction)から違法な献金を受け取ったとして起訴されたこと、さらに小沢氏が代表を退かずに「(検察と)徹底的に戦う」決意を示している点が、民主党の支持率を下げる結果を招いている。

 窮地に陥った民主党を救ってくれるホワイトナイト(白馬の騎士)として期待されているのが、業界団体からの多額の献金からバレンタインデーのチョコレートまで、「贈り物」のたぐいはすべて拒否することで知られる岡田氏だ。岡田氏は、2004-05年に同党代表を務めた経験を持つ。

 同氏は、有権者の80%近くが「小沢氏の代表辞任」を支持するなか、小沢氏の去就に関するコメントは避けている。岡田氏は、AFPのインタビューに対し、「(小沢代表が)代表をやると決意された以上は、支えるべきだと思っています。政権交代のために、(代表の説明が)8割の人が納得できないと言っているわけですから、納得してもらうための努力は求められていることは確かです」と語った。

 岡田氏は、小沢代表が辞任した場合、代表として指名されるのではとの憶測についても否定した。だが、政治アナリストらは、岡田氏が代表に就任した場合には党の支持率が急上昇すると予想している。

 なお、民主党が要求している早期の衆院解散・総選挙については、「やはり、私は、少し時間が必要だと思います」と消極的だ。

■タレント議員にはシビアな目

 岡田氏は、国民が政治に対して「カネにまみれている」とのイメージを抱き、そうした政治への不満をつのらせている現状を嘆く。透明性を確立するための闘いを続けてきたという同氏は、「その為に20年間努力してきました。かなり変わりましたけど、まだ十分ではありません」と言う。

 現在の政治に幻滅している有権者が、いわゆる「タレント議員」に投票する傾向が顕著になっている。岡田氏は、「(国民が政治家を信頼していない)そういう面もありますね」と批判的だ。

■カエルの置物を収集

 週に数回ジムに通って体を鍛えるという岡田氏は、「タレント」とは正反対の存在だ。控えめで、私生活や家族については堅く口を閉ざしている。

 創業から50年で業界2位にのぼりつめた小売大手イオン(Aeon)の創業者を父に持つ岡田氏だが、裕福であることを否定する。「私が5歳のころには、(父の会社は)1店舗しかありませんでした。(学生の頃は)普通の生活でした。お客さんは、一般の庶民ですから、庶民の生活からかけ離れてはいけないことは(父から)教えられました。麻生さんや安部さんのように、子供の頃から(私立の)特別な学校に行ったことはありません」

 その原則は忠実に守られている。唯一手元にある「贈り物」は、10代のころから自分で収集してきたカエルの置物だけだ。それらの数々は、東京の事務所に飾られている。「プレゼントされたものもあるけれど、ほとんどはわたしが旅先で買ったものです。なぜカエルかって?別に理由はないけれど・・・でもカエルってかわいいと思いません?」(c)AFP/Gilles Campion