【4月26日 AFP】チェルノブイリ(Chernobyl)で起きた史上最悪の原発事故から23年目の26日、ウクライナ全国で犠牲者の追悼式典が行われた。

 首都キエフ(Kiev)で催された式典にはビクトル・ユーシェンコ(Viktor Yushchenko)大統領や閣僚など約100人が出席、慰霊碑に花を捧げろうそくをともして犠牲者を悼んだ。事故発生後に現場の除染作業に従事した人たちも、涙をこらえきれない様子でモミの木で作ったリースを捧げた。

 かつて多くの発電所職員が暮らしていた、事故現場から約50キロ離れたスラブティッチ(Slavutich)の街では夜を徹して追悼の祈りが捧げられ、数百人もの参加者が犠牲者の慰霊碑に花やろうそくを捧げた。

 1986年4月26日午前1時23分(日本時間同日午前6時23分)、チェルノブイリ原発の原子炉の1つが爆発した。当時ソビエト連邦を構成していたウクライナ、ロシア、ベラルーシだけでなく、欧州の一部にも放射性降下物が拡散した。

 ウクライナ政府の統計によると、事故処理に当たったウクライナやロシア、ベラルーシの作業員2万5000人以上が死亡している。

 国連(UN)が2005年9月に発表した統計では犠牲者は4000人とされているが、この数字については多くのNGO(非政府組織)から疑問の声が上がっている。

 ウクライナだけで公式に事故の被害を受けたとされた人は230万人に上る。また、事故当時子どもや若者だった約4400人が、被ばく者によくみられる甲状腺がんの手術を受けている。

 チェルノブイリ原発は事故後も別の原子炉で発電を続け、2000年に完全に閉鎖された。原発は「石棺」と呼ばれる200トンのコンクリートの建造物で封じ込められているが、老朽化が進みひび割れていることから危険視されている。そのため、国際的な資金協力のもと、仏ブイグ(Bouygues)やバンシ(Vinci)などが参加したコンソーシアム、ノバルカ(Novarkaga)が年内あるいは2010年に鋼鉄製の新しい石棺建設に着工し、2012年に完成させる計画になっている。(c)AFP