【4月12日 AFP】どんよりした冬の寒い日のほうが、うきうきするような晴れの日よりも記憶力が良くなる――オーストラリアのニューサウスウエールズ大学(University of New South Wales)の研究チームが、このような実験結果を発表した。この結果は電子版の社会心理学誌「Journal of Experimental Social Psychology」の最新号に掲載された。

 研究チームは、気分が物事の細部についての記憶にどのような影響を与えるかを調べる実験を行った。店舗のカウンターにおもちゃの大砲、赤いバスのおもちゃ、豚の貯金箱などの小物10個を置き、買い物客が店舗から出てきたときに、カウンターに何があったかを質問した。

 研究チームを率いるジョセフ・フォーガス(Joseph Forgas)氏によると、荘厳なクラッシック音楽がかかり、寒くて風が強く雨が降っている場合のほうが、太陽の輝くよい天気のときよりも、記憶力が3倍よかったという。

 また雨の日に買い物をした人のほうが、カウンターに置かれていなかった小物が存在していたように勘違いする確率が低かった。

「悪天候で暗い気持ちになると記憶力が高まると予想していたが、その通りの結果が得られた」と、フォーガス氏は語る。

 暗い気分は周囲への注意力を高め、より注意深く慎重に考えるようになる一方、幸福な気分の場合、注意力が低下して自信をもつようになる上、物忘れしやすくなると同氏は考えている。さらに、今回の実験結果から、気分の及ぼす影響が、法廷やカウンセリング、臨床診療などの分野に応用できる可能性があるとしている。(c)AFP