【4月9日 AFP】インドネシアで1998年にスハルト(Suharto)政権が倒れ、民主制に移行後3回目となる総選挙が9日、実施された。一方、独立機運の強いパプア(Papua)州では少なくとも5人が死亡し、交番が襲撃されるなど暴力事件も発生した。

 世界最多のイスラム人口が国民の大半を占めるインドネシアの選挙は、おおかた滞りなく進行した。投票は一部の投票所を残し、現地時間正午(日本時間午後2時)に終了した。

 各世論調査によると、スシロ・バンバン・ユドヨノ(Susilo Bambang Yudhoyono)大統領が率いる与党・民主党の圧勝が予測されている。民主党が勝利すれば、7月にユドヨノ大統領が再選される可能性が高まる。

 30年間にわたり政権を握った故スハルト大統領の退陣は、経済崩壊の末に国民に迫られた結果で、「リフォルマシ(Reformasi、改革)」体制へ向けた政治変革の幕開けとなった。今回の選挙はまだ日の浅いインドネシアの民主制のさらなる試金石とみなされている。

 インドネシアの有権者は1億7100万人。今回の選挙は住民がいる約6000の島を含む全国52万か所の投票所で投票が行われ、国会議員、地方代表議会議員、州議会議員、県・市議会議員を選出する。

 今回の総選挙では、7月の大統領選に出馬可能な候補も決まる。大統領候補の指名には、一党または連立で下院560議席の20%を占めるか、国民投票で25%の支持が必要とされる。

■独立機運パプア州では死者も

 警察によると、東部パプア(Papua)州では夜通し、選挙の妨害を目的とした暴動が発生した。約100人が弓矢や爆弾を持って武装し、州都ジャヤプラ(Jayapura)近郊の交番を襲撃し、緊張が走った。警察によると、襲撃に応戦する中で警官が男性1人を射殺した。

 また、同州のほかの場所ではバイク・タクシーの運転手3人がナイフで刺され死亡したほか、燃料貯蔵庫が放火され、巻きこまれた少女1人が死亡した。さらに、東部のパプア・ニューギニアとの国境付近では、反政府勢力とみられるグループと警官隊が衝突した。

 パプア・ニューギニアと島を分かち合う形でニューギニア島西部に位置するパプア州では、住民の大半はメラネシア人。資源も豊富で、インドネシアからの独立を求める機運が高く、選挙直前には独立を呼び掛ける動きがいっそう強まっていた。(c)AFP/Arlina Arshad