【4月9日 AFP】中国とロシアのハッカーが米国の電力供給網にコンピューターウイルスを仕掛けようとしており、都市部が大混乱に陥る日がくるかもしれないと警鐘を鳴らす記事が、8日の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)に掲載された。

 記事は、「複数のサイバースパイが前年、金融機関から下水システムまでのすべての電力供給を司るシステムに繰り返しアクセスしていた」「中国とロシアのハッカーが、米国の送電網などのインフラ設備の位置を把握しようとしていた」とする、ある諜報機関高官の話を引用した。

 この高官は、電力供給のシステムに時限式のウイルスが複数仕掛けられていたことも明らかにした。このウイルスによる被害はなかったものの、高官は「わが国が(中国またはロシアと)戦争になった場合、彼らはそういったウイルスを有効にする可能性がある」と懸念している。

 雑誌「ワイアード(Wired)」の編集者、ノア・シャットマン(Noah Shachtman)氏は、「中国とロシアは、(ハッキングにおいて)民間人を大いに活用する傾向がある。両国政府は愛国的なハッカーたちに(ハッキングを)奨励している」と指摘する。

 一方で、ハッキングに詳しいジョン・バンガーナー(John Bumgarner)氏は、電力供給網へのハッキングの多くは、被害を与えることが目的ではなく、情報を盗むことが目的であると分析する。盗んだ情報は、例えば、自国の送電システムの効率を上げるといったことに活用されるという。

 ワシントンD.C.(Washington, DC)に本部を置くテロ対策情報センター「Global Terror Alert」の調査員、イバン・コールマン(Evan Kohlmann)氏は、米国のライバルであると同時にパートナーでもある中国とロシアのような国は、「今のところ」米国に大きな損害をもたらすことには興味がないと指摘する。

 それよりも憂慮すべきは、ハッキングの専門知識が(中露)政府の管理から離れるという事態だという。コールマン氏は、「瓶の中の魔物が解き放たれるようにハッカーたちが政府の束縛から逃れると、ハッカー集団は政府管掌の研究員ではなくなる。政府とは無関係の役者たちが乗り込んでくるのは時間の問題だ。陸海空そして宇宙とならび、サイバースペースもすでに安全保障の最前線になっている」と語った。(c)AFP/Sebastian Smith