【4月6日 AFP】(一部更新、写真追加)イタリア中部アブルツォ(Abruzzo)州で6日午前3時30分(日本時間同10時30分)、強い地震が発生し、当局によると少なくとも92人が死亡した。

 イタリア当局によると、震源は首都ローマ(Rome)の北約100キロにあるアブルツォ州の州都ラクイラ(L'Aquila)の地下約5キロの地点。イタリア国立地球物理学火山学研究所によると、地震の規模を示すマグニチュードは6.2。揺れは30秒続き、ローマでも体感された。ルネサンス、バロック時代の建物が建つ中世の城郭都市ラクイラは、がれきと化した。

 同日、シルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)首相は緊急事態宣言を発令した。首相はロシア訪問を中止し、ラクイラへ向かった。

 同地で会見したベルルスコーニ首相は、地震で1500人が負傷したと発表した。

 救急隊によると、約5万人が家を失ったという。

 一方、伊ANSA通信は警察発表として、ラクイラやほかのアペニノ(Apennine)山ろくの街で現在5人の幼児を含む20人の死亡を確認し、30人が行方不明と伝えた。

 ラクイラ市内は各地で救急車のサイレンが鳴り響いている。地元当局によれば、倒壊した建物は住宅やビルなど数千棟におよび、多数の人ががれきに閉じ込められているとみられ、緊急隊が必死の捜索を行っている。6万人の市民の多くが、余震を警戒して戸外に避難している。

 現場に急行したイタリア内閣府市民防衛部のGuido Bertolaso部長は「犠牲者も負傷者も多数。国家総動員で復旧には何週間もかかる類の事態だ」と語った。少なくとも1万棟の建物が倒壊し、今後救出作業が進むにつれて、発見される死者数が増えることが予測される。

 ラクイラと首都ローマを結ぶ高速道路は通行止めとなり、また1万5000人が停電の被害に遭っている。 
 ANSA通信によると、住民たちはショックを隠せず、同市の大学病院で診察を待つ人びとの間からは、すすり泣く声も聞かれた。この病院では地震後、使用可能な手術室が1室のみで、医師らは屋外で治療を行っている上、病院自体が倒壊する危険があることから屋内への立ち入りを禁止し、重傷者はヘリコプターでほかの都市の病院へ搬送している。

 イタリアでは数時間前の前日5日夜にも、北部エミリア・ロマーニャ(Emilia-Romagna)州でM4.6の地震が起きたばかり。前日の地震では被害は出ていない。(c)AFP