【3月22日 AFP】(写真追加)マダガスカルの首都アンタナナリボ(Antananarivo)の前市長で元ディスクジョッキーのアンドレイ・ラジョエリナ(Andry Rajoelina)氏(34)は21日、同国の暫定大統領に就任した。

 ラジョエリナ氏は就任式が行われたアンタナナリボのスタジアムで、集まった約4万人の支持者を前に演説し、長きにわたり同国の政治を圧迫してきた独裁や、国家運営の無駄、空疎な約束を終わらせ、マダガスカルに新しい時代を築くと宣言した。また2年以内に選挙を実施し、新憲法を制定すると述べた。

 マダガスカルでは今年に入り、ラジョエリナ氏とマルク・ラベロマナナ(Marc Ravalomanana)前大統領の間で権力闘争が起き、ラベロマナナ前大統領は17日に辞任した。ラジョエリナ氏は大統領に立候補できる法定年齢より6歳若いが、マダガスカルの憲法裁判所は18日、同氏を大統領に認定した。

 ラジョエリナ氏は宗教指導者、新内閣の閣僚、判事らの前で宣誓を行ったが、式典に外国の外交官の姿は見えなかった。

 ラジョエリナ氏はまた「獄中、あるいは国外に逃げたすべての政治犯に恩赦を与える」と述べた。式典に参加したマダガスカル人のなかには、2001年の大統領選の混乱のなかフランスに出国したディディエ・ラチラカ(Didier Ratsiraka)元大統領の復帰を念頭に置いているのではないかとの反応もみられた。

■外国は批判

 各国はを武力を背景に前大統領を追放したことはクーデターだと批判している。ラジョエリナ氏の内閣が19日に議会を停止したことにも批判が集まっている。

 米国はラジョエリナ氏の大統領就任を「クーデター」と呼び、人道援助以外の支援を停止した。旧宗主国のフランスと、アフリカ連合(African UnionAU)もラジョエリナ氏に法的な正当性はないとの見解を示している。

 アルジェリアは21日、今回の政変は「憲法違反」だとして「早期の憲法下の秩序の回復」を求めた。マダガスカルが加盟するインド洋委員会(Indian Ocean CommissionIOC)や、南部アフリカ開発共同体(Southern African Development CommunitySADC)もラジョエリナ氏の暫定大統領就任に否定的で、SADCは月内に会合を開きマダガスカルへの制裁を検討する方針だ。

■国内にも批判
 
 国内もラジョエリナ氏支持一色というわけではない。アンタナナリボの公園で開かれたラジョエリナ氏に反対する集会には約3000人が集まった。

 参加者の1人は「大半のマダガスカル人は暫定大統領に反対だが、集会に参加することを恐れている。われわれはテロの暴力に反対しているだけだ」とAFPに述べた。

 6週間にわたった夜間外出禁止令は解除され、夜にはアンタナナリボ中心部でラジョエリナ氏の暫定大統領就任を記念して花火が打ち上げられた。(c)AFP/Lucie Peytermann