【3月12日 AFP】ドイツ・ミュンヘン(Munich)の裁判所は11日、第2次世界大戦中にナチス(Nazi)の強制収容所で看守をしていたジョン・デムヤンユク(John Demjanjuk)氏(88)に対し、ユダヤ人数万人の殺害に関与した疑いで逮捕状を発行したと発表した。

 ウクライナ出身で1952年から米国に在住するデムヤンユク容疑者は、すでにイスラエルで戦争犯罪に問われて裁判にかけられ死刑判決を受けたが、その後、同国最高裁が証拠不十分として判決を覆している。

 ミュンヘンの裁判所は声明で「容疑者は現在、米国に在住しているが、ドイツに到着次第、尋問し、起訴することになる」と発表した。

 ドイツの検察当局の発表によると、「イワン雷帝」の異名で恐れられていたデムヤンユク容疑者は、1943年3-9月の間、現在のポーランドにあるソビブル(Sobibor)絶滅収容所で看守を務め、少なくとも2万9000人のユダヤ人殺害に関与した疑いがあるという。

 ナチス戦犯はドイツの検察機関「ナチス戦犯追及センター(Fahndungsstelle fuer NS-Verbrechen)」が1958年以来、継続的に追跡してきた。

 米司法省は同日、ドイツ政府によるデムヤンユク容疑者の訴追を支持する意向を示した。同省の報道官はAFPに対し、「米政府はこの件について、ドイツ司法当局と緊密に連携しており、今後も協力を続ける」と述べた。

 ただし、デムヤンユク容疑者の身柄をドイツに引き渡すかについては明らかにしなかった。(c)AFP