【3月12日 AFP】(一部更新)米南部アラバマ(Alabama)州サムソン(Samson)で10日起きた銃乱射事件で、捜査当局は11日夜、自殺した容疑者の男が、自分を不当に扱った人物のリストを作り、サバイバル用具をそろえていたことを明らかにした。

 マイケル・マクレンドン(Michael McLendon)容疑者(28)は、自宅で母親と犬3匹を射殺してから放火、その後3か所で銃を乱射して9人を殺害。最後は以前勤務していた食品加工会社の工場で、銃口を口にくわえて自殺した。

■自宅から同僚の名と「不当な仕打ち」のリスト

 地元検察当局によると、マクレンドン容疑者と母親が住んでいた家を捜索した結果、容疑者の机の引き出しから、元同僚の名前のリストが記されたノートが見つかった。このノートには、「耳栓をしていなかったのを報告された」「4時間も肉挽き器の清掃をさせられた」などと、元同僚らから受けた不当な仕打ちが書かれていたという。

 マクレンドン容疑者は2007年7月からこの工場に勤務していたが、前週、突然辞めていた。

 元同僚らへの当局の聞き込みでは、これらの主張の裏づけは取れていない。乱射事件の被害者の中に、元同僚は含まれていないという。

■「無口で内気」「よく知らない」―人物像

 近所の住民や同僚らは、マクレンドン容疑者について、無口で親しい人間はあまりいなかったようだと話している。

 当局によると、聞き込みを行った近隣住民は誰もが、同容疑者は非常におとなしく引きこもりがちだったため、よく知らないと答えるか、知っている場合には内気だったと話した。住民らが同容疑者に対して持っていた唯一の不満は、自宅の裏庭でいつも射撃をしていることだけだったという。

 同容疑者が勤務していた食品加工会社の広報は、「自分の職務に専念し、信頼できるチームの一員だった」と語った。

■経済的な苦境が犯行の一因か

 一方、当局の指摘によれば、マクレンドン容疑者の一家は経済的苦境にあったとみられる。自宅のキッチンのテーブルには、母親の勤務先から一時解雇を通達する手紙が残されていた。また同容疑者は、数ページにわたる支払い請求のリストも作っており、支払う順番も記入されていたという。

 当局は、「経済状況が犯行の一因だった可能性もあるとみている。容疑者は何かしら世間に対して怒りを感じていたのだろう」との見方を示している。

■大量のサバイバル用品、母親を「火葬」

 マクレンドン容疑者の自宅からは、寝室から居間にかけて20-40箱の弾薬箱が転がり、ミリタリーバッグに詰め込まれた大量の医療品や、寝袋、水の入った水筒、キャンプ用品など、サバイバルに必要とされるものが見つかった。

 また、母親は頭を撃たれて死亡しており、マクレンドン容疑者は同じく射殺した飼い犬3匹を母親の遺体の周囲に並べ、塗料用シンナーにひたした毛布をかけて火をつけたとみられている。(c)AFP/Donna Francavilla