【3月11日 AFP】南北戦争で北軍を率いた米国の第16代大統領エーブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)の懐中時計の内部に、ある言葉が刻まれていたことが明らかになった。しかし、リンカーン本人がこの言葉を見ることはなかったと考えられている。

 米スミソニアン協会(Smithsonian Institution)は、約150年前、リンカーンが大統領に就任し、南北戦争が開戦した直後にこの時計を修理した職人ジョナサン・ディロン(Jonathan Dillon)が懐中時計に刻んだ言葉を発見した。南北戦争の発端となったサムター要塞(Fort Sumter)の戦いに言及し、リンカーン大統領就任後の南部諸州の脱退を懸念しているようなメッセージだ。

「サムター要塞は反逆者に攻撃された。幸いにも我々には政府がある」

 1906年、当時84歳だったディロンはニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙に、ワシントンのペンシルベニア通り(Pennsylvania Avenue)にある時計店M.W. Galt and Co.に務めていた際にリンカーンの時計を修理したと語っていた。文字盤のねじをはずし、鋭利な道具で言葉を刻み込んだという。

 歴史家たちは懐中時計に刻まれた言葉の存在をこれまで疑問視してきたが、今回の発見でそれが事実だったことが確認された。

 リンカーンは1850年代、イリノイ(Illinois)州スプリングフィールド(Springfield)の宝飾店でこの金色の懐中時計を購入した。

 米国歴史博物館(National Museum of American History)のブレント・グラス(Brent Glass)館長はリンカーンが懐中時計に刻まれた言葉を知ることはなかったと述べ、「後世に何か残そうと考えた普通の時計職人による、歴史上のごく個人的な出来事ですよ」と語った。(c)AFP