【3月6日 AFP】人類がこれまで考えられていたより1000年も早い約5500年前にウマの家畜化に成功していたとする英考古学者らによる研究結果が、5日付の米科学誌「サイエンス(Science)」に掲載された。

 英エクセター大学(University of Exeter)のアラン・アウトラム(Alan Outram)氏が主導する研究チームが、カザフスタン北部ウラル山脈(Ural Mountains)東方にあるボタイ(Botai)地方から出土した古代のウマの骨や歯を調査しところ、ボタイのウマからは、同時代の野生のウマにはない選別飼育された形跡や、馬具による傷跡などがみられたという。

 さらに、研究チームは、最新技術を用いて、陶磁器から馬乳の脂肪分の残留物を特定。当時のボタイの人々が、馬乳を飲んでいたことが分かった。現在もカザフスタンでは、馬乳や馬乳酒「クミス(koumiss)」を飲む慣習がある。

 アウトラム氏はAFPとの電話インタビューで、発見が画期的なのは、当時の人びとがウマの飼育だけでなく、この時期までにウマの畜産体制が確立していたとみられることだと話した。

 この時期にウマを移動手段として乗りこなし、馬肉や馬乳など食用にも利用していたということは、野生のウマの家畜化の成功は、さらに早い時期だったとも考えられるという。

 人類は野生のウマの家畜化に成功し、コミュニケーション、交通、食料の生産、戦争など、社会や経済を大きく発展させてきた。今回の発見は、人類社会がかなり早い時期に発展していたことへの解明に大きな意義がある。(c)AFP