【2月25日 AFP】現代アートの国際展覧会、第53回ベネチア・ビエンナーレ(53rd Venice Biennale、隔年開催)の事務局は24日、「アートの言語に革命を起こした」として、故ジョン・レノン(John Lennon)さんの妻で芸術家のオノ・ヨーコ(Yoko Ono)さん(76)に今年の生涯業績部門の金獅子賞を授与すると発表した。

 主催者側は、オノさんの受賞理由について、「パフォーマンスアートとコンセプチュアルアートの先駆者。現代において最も影響力を持つアーティストの1人。ポップカルチャーと平和活動のシンボルとなるずっと前から芸術的な表現方法を開拓し、日本と欧米の双方において永続的な痕跡を残してきた」と説明した。

 また、米国人ビジュアル・アーチストのジョン・バルデッサリ(John Baldessari)氏(78)も、「独自のビジュアル言語を創造した、最も重要な現代ビジュアル・アーティストの1人。1960年代から多数の分野で活躍し、数世代にわたりアーティストを刺激してきた卓越した芸術形態を生み出した」として同賞を受賞した。

 スウェーデンの美術評論家・哲学者であり、今回の展覧会でキュレーターを務めるダニエル・バーンバウム(Daniel Birnbaum)氏は、「2人の画期的な活動は、世界中のアーティストに新しい詩的・概念的・社会的な可能性を開いた。2人の作品はアート言語に革命をもたらし、今後の世代にもインスピレーションを与え続けるだろう」と評した。

 前回2007年には、マリ人の写真家、マリック・シディベ(Malick Sidibe)氏が、アフリカ人としては初めて同賞を受賞している。

 授賞式は、6月6日のビエンナーレ開幕式で行われる。

■今回は「創造のプロセス」に焦点

 6月7日から11月22日まで開催される今回のビエンナーレのテーマは「Making Worlds(世界を創る)」。その意味を、バーンバウム氏は昨年10月、「アート作品は単に物や製品というだけでなく、世界観を象徴している。世界を構築する1つの方法と見なすこともできる」と説明しており、展示も従来の博物館スタイルではなく、スタジオや研究所といった、製造過程や創造・訓練の現場に寄り添った形になるという。(c)AFP