【2月24日 AFP】(一部訂正)1970年代にカンボジアで大虐殺を行ったポル・ポト(Pol Pot)政権の元幹部を裁くカンボジア特別法廷(Extraordinary Chambers in the Courts of CambodiaECCC)で24日、イエン・サリ(Ieng Sary)元副首相の妻で、ポル・ポト派の「ファーストレディー」の異名をとるイエン・チリト(Ieng Thirith)元社会問題相(76)の保釈請求に対する審理が行われた。

 イエン・チリト被告は検察側に対し「呪われて地獄に落ちるがいい」と悪態をつくなど、法廷内で延々と怒りと非難を口にした。同被告は1975-79年の独裁政権下で犯した戦争犯罪や「人道に対する罪」などで起訴されている。

 被告は公判の冒頭では「わたしはあまりに弱っている」ため、身柄拘束に対する不服申し立ては弁護人が自分の代わりに行うと述べた。

 しかし、被告が社会問題相を務めていた時期に起こったトゥールスレン(Tuol Sleng)収容所の大量虐殺について、被告が知っていたのではないかと検察側が言及した場面で逆上し、15分間にわたって「わたしを人殺しなどと非難すれば、おまえが地獄に落ちるだろう」などの発言を止めなかった。被告は「なぜ善人がこんな罪で非難されるのか分からない。わたしは非常に苦しんできた。誤った非難を受け続け、これ以上我慢ならない」とも述べた。

 自らの罪の否定には衰えをまったく見せなかったイエン・チリト被告だが、高齢のため健康状態が懸念されている。

 検察側は、被告の身柄の安全確保と公共秩序の維持、また逃亡防止などの観点から、同被告の身柄拘束の必要性を主張している。裁判所は後日、同被告の審理の前に保釈の可否を決定する。(c)AFP/Suy Se