【2月17日 AFP】「地球最後の日」に備えて重要な種子を保管することを目的に開設されたノルウェー・スバルバル(Svalbard)の種子保存施設では、研究者らが絶滅の可能性のある約10万品種の作物を保存しようと殺到しており、保管される種子の数が増加を続けている。

 絶滅の危機にさらされている種子は、気候変動の結果として作物が壊滅的な被害を受け損失した際、世界的な食糧供給を保護するため非常に重要になると、プロジェクトの中核である世界作物多様財団(Global Crop Diversity TrustGCDT)のキャリー・ファウラー(Carry Fowler)事務局長は説明する。

 現在、農業用に使用されている作物は、予想される干ばつや気温上昇、また新種の害虫や病気に十分対処できるように自ら急速に進化することはできないという。

 ある最近の研究で、アフリカのトウモロコシ収穫量は、熱に強い新種が開発されなければ、2030年までに30%落ち込むことが判明したと、ファウラー事務局長は指摘する。

 種子を進化させるのに現時点では約10年かかるが、ファウラー氏は、GCDTは種子保存施設で保存されている種子の遺伝的特徴を分類することによって、新種の開発を加速したいと考えていると語っている。

 北極海に浮かぶノルウェー・スバルバル諸島のロングイェールビーン(Longyearbyen)近くの山腹に建設された種子保存施設は、研究を促進するため公開される予定だ。ファウラー氏によると、研究はまだまだ不十分だという。(c)AFP