【2月13日 AFP】現生人類(ホモサピエンス)と、その最も近い先史時代の種、ネアンデルタール人の進化過程は、どのように異なっていったのか――。その謎の解明に向けた進展の1つとして、各国の科学者らのチームは12日、ネアンデルタール人のゲノムを60%以上を解読したと発表した。

 研究チームは、クロアチアで発見されたネアンデルタール人の化石3体から抽出したDNA断片を用いて、30億におよぶDNAの塩基配列を解析。ネアンデルタール人のゲノム全体の60%以上の解読に成功した。

 独マックスプランク進化人類学研究所(Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology)のジャンジャック・ユブラン(Jean-Jacques Hublin)氏は記者会見で、「なぜわれわれ人類だけが、絵を描き、色を塗り、複雑な道具を発明するといった驚くべき能力を持つようになったのだろうか? ネアンデルタール人のゲノム研究で、どのようにして現生人類が現在の人類となったのかが分かるだろう」と期待を示した。

■「人類との間に大きな違いはない」

 同研究所のスバンテ・ペーボ(Svante Paabo)主任研究員は、人類の遺伝子プールにネアンデルタール人を起源とするものが「あるとしてもごくわずか」で、交雑があった可能性は非常に低いと説明。

 ただ、言語の主要機能をつかさどる遺伝子は共通しており、ネアンデルタール人はこれまで考えられていたよりも人類に近い可能性があることも明らかになった。

 ペーボ氏は「ネアンデルタール人はどの程度人類に近かったのか、またどのように交流していたのか。おそらく完全に判明することはないだろう」とした上で、「ゲノム的な見地からは、ネアンデルタール人とわれわれ人類との間に大きな違いはない」と結論づけた。

■絶滅の理由については激しい議論も

 ネアンデルタール人と現生人類は約30万年前に共通の祖先から分化した。

 背が低く筋肉質で額の狭いネアンデルタール人は、欧州、中央アジア、中東地域に約17万年間、生存していたが、約2万8000年前にその痕跡は途絶えた。これまでに分かっている最後の足跡は、ジブラルタル(Gibraltar)に移り住んでいたということだけだ。

 現生人類と共存していた時期もあるため、ネアンデルタール人の絶滅理由についてはさまざまな論争が起きている。より知能の発達した現生人類と資源を奪い合った結果、競争に敗れて徐々に衰退していったとの主張がある一方、交雑によりネアンデルタール人としての形質が消滅したとの意見もある。(c)AFP