【2月9日 AFP】前月15日、米ニューヨーク(New York)のハドソン川(Hudson River)にUSエアウェイズ(US Airways)の旅客機が不時着水した事故当時の様子を、チェズレイ・サレンバーガー(Chesley Sullenberger)機長が8日に出演したCBSテレビの番組で、「エンジンから鳥が焦げるようなにおいがした。神頼みは『機体の後ろにいるほかの誰か』に任せた」などと振り返った。

 エアバス(Airbus)A320型機が離陸直後に鳥と衝突し、エンジンの推進力を失った際、サレンバーガー機長は冷静に状況を判断し、交信していた管制官にはできることの限界を知らせ、機体をハドソン川に不時着させることを決意。着水は成功し、乗客乗員155人を安全に避難させた。

 この「ハドソン川の奇跡」について、事故後初めてテレビの取材に応じた機長は「着陸に意識を集中させた。乗客のことはあまり考えなかった」と話した。「問題を解決しなければならない、窮地を脱する方法を見つけなければならないということだけ分かっていた。それに夢中だった」

 機長は操縦歴42年のベテランだが「いろいろな意味で、あの瞬間に至るまでのこれまでの人生が、あの特別な瞬間を切り抜けるための準備期間だったと思える」と話した。

 また「不時着までの3分間に神の加護を求めたか」との質問には、「操縦している間、機体の後ろにいる誰かがわたしの代わりに祈ってくれているだろうと思った」と答えた。

 左右のエンジンが停止した瞬間については、「これまでにない吐き気がこみ上げるような最悪の気分だった。床を突き抜けて落下するような、人生で経験したことのない感覚だった」と表現した。(c)AFP