【1月31日 AFP】従業員による社内情報へのスパイ行為や、悪質ソフトで武装した犯罪組織による企業データの盗難被害は、昨年1年で控えめに計算しても1兆ドル(約90兆円)相当に上り、金融不況が情報窃盗の被害を拡大する傾向にあるという。スイス・ダボス(Davos)で開催中の世界経済フォーラム(World Economic Forum)年次総会(ダボス会議)で29日、米カリフォルニア(California)州のコンピューター安全対策会社マカフィー(McAfee) が発表した。

「情報セキュリティー経済」研究としては初めて世界規模に行われたもので、マカフィーは日本、中国、インド、ブラジル、英国、ドバイ、ドイツ、および米国で、最高情報責任者(CIO)800人以上を対象に調査を行った。

 その結果、2008年には、計46億ドル(約4100億円)相当の知的財産が被害に遭い、損失の回復費用に約6億ドル(約540億円)が費やされたことが明らかになった。

 米国の「情報保護・セキュリティ教育研究センター(Center for Education and Research in Information Assurance and SecurityCERIAS)」のユージン・スパフォード(Eugene Spafford)氏は、「金、ダイヤモンド、原油などと同様に、知的財産も国際的に流通する通貨としての価値を持つ。盗難の被害にあえば深刻な経済的影響をもたらす」と話す。

 コスト削減の圧力が強まる中で、企業ではコンピューターのセキュリティー対策がおろそかになる傾向にあるが、CERIASによると、そのような企業は情報窃盗の標的に一層なりやすくなるという。

 また、不景気のあおりで、給料の減額を補おうとしたり、将来の雇用で成果を上げるためなどとして、従業員が社内情報の盗難で加害者になることも増加傾向にあるという。

 さらに、法的、文化的、経済的要因から、中国、パキスタン、およびロシアを情報窃盗の「問題地域」として特定している。 (c)AFP/Glenn Chapman