【1月28日 AFP】ロシア正教会(Russian Orthodox Church)の総主教アレクシー2世(Patriarch Alexy II)が前月に死去したのを受け、ロシア正教会は27日、モスクワ(Moscow)の救世主キリスト大聖堂(Christ the Saviour Cathedral)で教会会議を開き、圧倒的多数の賛成でキリル(Kirill)府主教(62)を新総主教に選出した。

 キリル氏は、ロシア正教会の渉外局長を長らく務めた実績を持ち、現在はスモレンスク(Smolensk)とカリニングラード(Kaliningrad)の府主教を務めている。歯に衣着せぬ発言を行うとして知られており、専門家筋はロシア政府にとって悩みの種になるとみている。

 ソ連崩壊後初となる総主教選出の投票には、ロシア内外の教区から代表の聖職者や信者約700人が参加。キリル氏は投票で508票を獲得した。対立候補で、カルガ(Kaluga)及びボロフスク(Borovsk)の府主教を務めるクリメント(Kliment)氏は169票だった。

 キリル氏は開票結果が発表されると、「教会会議による総主教への選出を受け入れ、感謝する」と厳粛な面持ちで述べた。

 これに先つ礼拝では、キリル氏はロシア正教会の団結を繰り返し呼び掛け、カトリック教会やプロテスタントの布教活動に屈しないよう信者らに求めたが、これによりローマ・カトリック教会との関係改善の見込みが薄いことが示された。(c)AFP/Stuart Williams