【1月21日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)氏は20日、35語の就任宣誓を行い、第44代合衆国大統領に就任したが、その際、単語の語順が憲法の規定とは異なっていた。

 オバマ氏は、左手をエーブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)大統領が使用した聖書に乗せ、右手を上げてジョン・ロバーツ(John Roberts)連邦最高裁長官(53)が述べる宣誓の言葉を復唱し、新大統領として正式に就任した。

 米憲法によれば、宣誓は「I will faithfully execute the office of president of the United States(私は誠実に大統領の職務を遂行する)」と行うと定められているが、ロバーツ長官は語順を間違え「faithfully」をこの部分の最後に持ってきてしまった。オバマ氏は誤りに気づき一瞬言葉を止めた。

 約1キロ離れたナショナル・モール(National Mall)で、巨大なテレビを通してこの歴史的な瞬間をみつめていた大観衆も長官の誤りに気づき、大きなどよめきが起きた。「オー、ノー、ノー、ノー!」と叫ぶ女性もいた。

 しかし、ロバート長官が同じように繰り返したため、オバマ氏は最終的には長官が述べたとおりに復唱した。その後、オバマ新大統領の就任後初の昼食会でロバーツ長官は謝罪し、オバマ氏は笑いながら握手を求めた。

  ロバーツ氏は、連邦控訴裁判所判事を経て最高裁長官に任命される前には、共和党政権の法律顧問として働いた経歴もある。ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領は2005年、ロバーツ氏を連邦最高裁判事に指名したが、オバマ大統領は上院司法委員会でロバーツ氏の指名承認に反対した22人の民主党上院議員の一人だった。

 政治的立場が異なる2人の間には今後もいろいろなやりとりが予想されるが、今回の小さな誤りなその最初のものとなった。オバマ大統領はロバーツ長官の影響力を弱めるような最高裁判事を指名する可能性もある。(c)AFP