【1月19日 AFP】中国で前年11月30日に行われた2009年度の国家公務員試験で、カンニングを行った受験者が1000人を超えることが分かった。中には極小イヤホンやワイヤレス送信機といったスパイ顔負けの技術を利用した受験者もいた。

 19日付の国営新華社(Xinhua)通信は、前年の国家公務員試験中に300人がカンニングでつかまったと報じた。また、答案に多くの共通性があったほかの700人もカンニングをしたとみられている。

 中国国家公務員局(State Bureau of Civil Servants)のこの報告は、カンニング受験者の多さは、中国を一党支配する共産党内にまん延する腐敗撲滅がいかに難しいかを浮き彫りにした。国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)は19日の社説で「こうした人びとがごまかしをするのは、試験のときだけだとは考えられない。こうした者たちが公職に就き、公権力を行使する上で不正行為をしたらどうなるか」と糾弾した。

 公務員局によると、カンニングにハイテク技術を駆使した者たちには、ワイヤレス送信機をうまく隠して回答を外部から得たり、極小のイヤホンを耳にはめ無線で答えを受け取っている者もいた。

 公務員の権限が非常に強く、共産党政権が厳しい統制を維持している中国で、公務員職はそのまま「権力」と同義語だ。

 今年は世界的な経済危機に見舞われ、中国でも全土で労働者数百万人の解雇が進む中、景気に左右されない安定した職業として公務員への就職希望者は特に多く、1万3500人分の募集に過去最多の77万5000人が受験。合格者は57人に1人という競争率だった。(c)AFP