【1月16日 AFP】(写真追加)米ニューヨーク(New York)で15日、乗客乗員155人が乗ったUSエアウェイズ(US Airways)旅客機がハドソン川(Hudson River)に不時着水した事故で、冷静沈着な手腕で奇跡的に惨事を防いだ機長に称賛が集まっている。

 米メディア報道によると、この機長は空軍戦闘機のパイロット経験をもつチェズレイ・サレンバーガー(Chesley Sullenberger)氏(57)。乗客らの証言によると、機長は機体を胴体から緩やかに川面に着水させた。

 乗員乗客は全員無事に機体から脱出することができたため、乗客や当局者らは機長を「ハドソン(川)の英雄」と呼んで称賛している。

 事故後、サレンバーガ機長と会話を交わしたというマイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)ニューヨーク市長は「機長は巧みに川への不時着水を成功させ、全員が脱出したことを見届けた」と報道陣に語った。

 乗客の1人も、「突然、機長が衝撃に備えるようにと言ったんだ。だが、彼の手腕は見事だった。あの着水はまさに称賛に値する」と米CNNテレビに語っている。

 サレンバーガ機長の同僚のUSエアウェイズ操縦士で8年間のエアバスA320型機の操縦経験を持つジョン・シルコット(John Silcott)氏は、A320は主翼の下にエンジンがあるためサレンバーガ機長は機体を尾翼から着水させたのだろうと説明する。「エンジンが先に着水していれば、機首が水中に突っ込んでいただろう。素晴らしい着水だった」

 サレンバーガ機長は、空軍パイロット経験のほか、米航空機パイロット協会(Air Line Pilots AssociationALPA)で安全担当委員長やインストラクターを務め、米運輸安全委員会(NTSB)の航空機事故調査に参加した経験も持つベテラン。(c)AFP