【1月13日 AFP】インドネシアのスラウェシ(Sulawesi)島沖で260人余りを乗せたフェリーが転覆した事故で、波間を漂うバナナが生存者の命を救っていた。

 南スラウェシ(South Sulawesi)州から東カリマンタン(East Kalimantan)州に向かっていたフェリー「テラタイ・プリマ(Teratai Prima)号」(700トン)は11日未明、悪天候に見舞われて転覆。乗船していた人の多くは、依然として行方不明になっている。

 これまでに救出された22人の生存者の1人、ルディ・アルビアン(Rudi Alvian)さん(17)は、強風と荒波の中を漂いながら、バナナの束が浮かんでいるのを発見。バナナを救命具代わりに救助を待った。「(バナナは)ほかの乗客のものだと思う。バナナを発見していなければ、おそらく溺れていただろう」とアルビアンさんは話す。

 アルビアンさんのほか、ムハンマド・ユスフ(Muhammad Yusuf)さん(38)も、バナナに命を救われた1人だ。

 病院でAFPの取材に対し「船が転覆する直前、海に飛び込んだ。乗客はパニックに陥り助けを求めていた」と証言するユスフさんも、漁師に救助されるまでの27時間、バナナを浮き輪代わりにしていたという。(c)AFP