【1月13日 AFP】地球の磁場が気候変動に大きな影響を与えているという説を展開する論文が12日、デンマークの科学専門ポータルサイト「Videnskab.dk」などで発表された。

 地球温暖化の主因は、人間の活動によって排出される二酸化炭素(CO2)だとする一般的な見解を覆すこの説は、論議を呼びそうだ。

 研究を発表したのは、デンマークのオーフス大学(Aarhus University)の地球物理学者、Mads Faurschou Knudsen氏と、デンマーク・グリーンランド地質調査所(Geological Survey of Denmark and GreenlandGEUS)の地球物理学者、Peter Riisager氏で、中国とオマーンで発見された石筍と鍾乳石から得られたデータに基づき、5000年前の先史時代の磁場を再現し、現在の磁場と比較した。

 その結果、磁場の強さと熱帯地方の降水量の間に、強い相関関係があることが明らかになった。

 10年前、デンマークの天体物理学者ヘンリク・スベンスマルク(Henrik Svensmark)氏が、地球の気候は大気を通過して降り注ぐ宇宙線(GCR)の影響を大きく受けているという説を発表し物議を醸したが、今回の発見はこの説を支持する根拠となる。

 スベンスマルク氏は、地表面に到達するGCRの粒子量を、地磁気が調節する役目を果たしていると考え、磁場と気候が相関しているという説を提唱した。

 今回、Knudsen氏は、地球の気候とは無関係に発生している磁場の変化が、降水量の変化と関連していれば、その原因はスベンスマルク氏が説明したメカニズムと同様に「磁場が宇宙線の到達を妨げている」ため以外には考えられないとしている。

 論文を発表したKnudsen氏とRiisager氏は、気候変動にCO2が大きく関与していることは認めている。「しかし、気候は想像を絶するほど複雑であり、どの要素が関与し、各要素が一定の状況下でどの程度関わっているかについて、概要が完全に理解されているとは考えられない」(Riisager氏)

 同論文は米地質学会誌「ジオロジー(Geology)」にも掲載されている。(c)AFP