【1月13日 AFP】母親の胎内で高濃度の男性ホルモン・テストステロンにさらされた赤ん坊は、幼年時代に自閉症的な性質が現れやすい。英ケンブリッジ大学(Cambridge University)によるこうした研究結果が、12日発行の学術誌「British Journal of Psychology」に発表された。

 研究チームは、妊婦235人を対象に、羊水中の胎児のテストステロン濃度を測定・記録し、誕生後6-10歳時に自閉症的な性質を呈したかどうかの聞き取り調査を行った。

 その結果、胎児期のテストステロンの濃度が高いほど、自閉症的な性質(社交ベタ、想像力や共感能力の欠如、特定の物への異常な執着など)が現れやすいことがわかった。

 これまでの研究では、胎児期のテストステロン濃度が高いと、乳児期に相手と目を合わさない傾向があったり、言語の習得が遅い、共感能力に欠けるなどの性質が現れることが明らかになっていた。 

 研究を主導したSimon Baron-Cohen教授によると、胎児期のテストステロンと自閉症的な性質の関係性に焦点を当てた研究は今回が初めて。「胎児期のテストステロンは、身体のみならず、精神も雄性化するのではないか」とみている。

 教授は一方で、胎児期のテストステロンの濃度が高いと本格的な自閉症を発症することが確認されたわけではないと念を押す。「われわれは全員、何らかの自閉症的性質を持っている。それが多いか少ないかは、身長のように個人差がある」(c)AFP