【1月9日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で8日、援助物資を輸送中の国連パレスチナ難民救済事業機関(UN Relief and Works AgencyUNRWA)のトラックがイスラエル軍の戦車から2発の砲撃を受け、運転手1人が死亡、2人が負傷した。

 トラックは国連旗をかかげており、援助物資を受け取るためイスラエルとの境界に向かっている途中だったという。UNRWAはガザ地区内150万人の半数に食料を配給している。

 事態を受けてUNRWAは、ガザ地区での活動を「イスラエル当局が職員の安全を保障できるまで停止する」と発表。潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長は報道官を通じ、「イスラエル国防軍による国連の車列への攻撃を非難する」と述べ、イスラエルに全面的な調査を要請した。

 潘事務総長は6日にも、国連機関が運営する学校をイスラエル軍が攻撃した問題で調査を要請しており、短期間で2度目の要請となった。事務総長は次週にもガザ地区を訪問する。

■市民、援助関係者への被害拡大

 国連によると、ガザ市(Gaza City)でも同日、イスラエルが宣言した人道支援のための3時間の攻撃停止の間に、国連の装甲車両2台に護衛された救急車が、地元国連職員の遺体の回収にあたっていた際に、銃火器による攻撃を受けたという。

 イスラエル側は、民間人への被害を極力抑えていると主張しているが、援助機関は、職員や医療関係者が大きな危険にさらされており、ガザ市民には逃げ場がないと訴えている。

 赤十字国際委員会(International Committee of the Red CrossICRC)は8日、イスラエルが負傷した子どもの救出活動を妨害したと非難。また、国連児童基金(UNICEF)は、「軍事作戦の結果、子どもたちが連日死亡または負傷している事態は容認できない」と述べて、深い懸念を表明した。(c)AFP/Patrick Moser