【12月19日 AFP】元ナスダック・ストック・マーケット(Nasdaq Stock Market、現ナスダックOMXグループ)会長のバーナード・マドフ(Bernard Madoff)容疑者による巨額金融詐欺事件について、米証券取引委員会(Securities and Exchange CommissionSEC)に対し、数年前から同容疑者の活動について複数の情報が寄せられていたものの、同容疑者の「ポンジ・スキーム(ネズミ講)」まがいの詐欺行為が破たんするまで、十分な調査が行われていなかったことが明らかになった。

 バラク・オバマ(Barack Obama)次期米大統領は、次期SEC委員長にメアリー・シャピロ(Mary Schapiro)氏を指名することを発表した際、この事件によって「市場を統制する規則や規制に抜本的な改革が必要であることがあらためて示された」と語った。また、投資家や一般市民もなぜこれほど大規模な事件をSECが予期できなかったのか疑問視する声が上がっている。

 SECに対しては先週逮捕されたマドフ容疑者自身に向けられた怒りをしのぐ大きな怒りの声が上がっているが、数年前から金融関係者からマドフ容疑者についての情報がSECに寄せられていたことが明らかになり、SCEへの不信感はさらに高まっている。

 18日の米ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)紙は一面で、マドフ容疑者のライバル投資家で後に詐欺調査員となるハリー・マルコポロス(Harry Markopolos)氏の9年間に及ぶ調査活動について報じた。

 マルコポロス氏は早い段階で、マドフ容疑者が「ポンジ・スキーム」に手を染めていると思っていたという。投資家として、マドフ氏の年率12%という非常に高率かつ継続的な配当に対抗するように上司に命じられた時に、マドフ氏の詐欺行為を確信したという。

 マルコポロス氏の訴えに基づき、SECは2006年1月4日、マドフ容疑者本人や関係者、さらには当時のマドフ容疑者の主要顧客で後に大きな被害を受けた米ヘッジファンド、フェアフィールド・グリーンウィッチ・グループ(Fairfield Greenwhich Group)の代表などへの面談を行うなどの調査を開始した。

 WSJによると、SECは、マドフ容疑者がフェアフィールドのファンドの投資戦略の性質について調査員に事実と異なった説明を行っていたほか、顧客企業の投資口座の詳しい情報を調査員に正確に伝えなかったことを把握していたという。だが、SECは最終的に強制調査を行うほどの違反ではないとして、調査を打ち切ったという。

 SECのクリストファー・コックス(Christopher Cox)委員長は16日、1999年から情報が寄せられていたにもかかわらずマドフ容疑者の事件を探知できなかった問題について、内部調査を行うと発表した。(c)AFP/Marine Laouchez