【12月18日 AFP】豊胸手術、鼻の美容整形、脂肪吸引術など、女性雑誌が取り上げる美容整形に関する記事は、自殺をも招きかねない心理的リスクを軽視しすぎている――。カナダの医学誌「Women's Health Issues」12月号に、このような研究結果が発表された。

 カナダのブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)のAndrea Polonijo氏らは、過去5年間に北米で発行された人気の女性誌数誌で、美容整形手術に関する35本の記事(ボトックス注射など、メスを使わない処置は除く)の内容を分析した。

 すると、ファッションやダイエットの記事に並行して、美容整形があたかも美を手に入れるための「当たり前」の手順であるかのように書かれる傾向があり、さらには、美容整形の身体的リスクが説明されている記事はあっても、心理的リスクに触れている記事は全体の18%に過ぎないことがわかった。

■解明されていない美容整形と心の関係

 Polonijo氏らは現在、「美容整形が心の健康に与える影響」について研究している。美容整形そのものが心理的苦痛をもたらすのか、美容整形を受ける人はもともと心理的苦痛を受けやすい傾向があるのかについては、意見の一致は見られていない。
 
 同氏によると、一部の研究では、美容整形により「不安やうつ状態が増し、実際には身体に対する不満が増えてしまう可能性もある」と指摘されている。豊胸手術が精神のバランスを崩し、自殺に至るケースもあると警鐘を鳴らす研究結果もあるという。

「雑誌には、美容整形をすると心が元気になると太鼓判を押す記事は多いが、美容整形の結果までは書かれていない。美容整形をする人は、自分に自信を持ちたい、好きな人を振り向かせたいといった動機から受けるわけだが、期待通りにいかなかった場合には心の健康が損なわれることがある」と、Polonijo氏は注意を促している。(c)AFP