【12月15日 AFP】処刑されたイラクの故サダム・フセイン(Saddam Hussein)元大統領の弁護を務めたハリル・ドレイミ(Khalil Al-Dulaimi)氏が15日、前日バグダッド(Baghdad)で行われたジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領の記者会見中、履いていた靴を大統領に投げつけたイラク人記者の弁護団の組織を始めたと語った。

 ヨルダンの首都アンマン(Anman)を中心に活動するドレイミ弁護士は、AFPの取材に対し「これまでにイラク人弁護士、米国を含む外国の弁護士ら200人からこの記者が釈放されるよう支援したいとの申し出があった。わたしは一件が起こった直後、日曜の夜にこの記者の弁護をしようと決意した。現在、弁護団を結成するためにアラブ各国の弁護士会に接触しているところだ」と明かした。

 14日、来月に迫った退任前の最後の訪問としてバグダッドを電撃訪問したブッシュ大統領と、ヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相との共同会見中、取材していた記者の1人が、「別れのキスだ、この野郎」と叫びながら自分が履いていた左右の靴を投げつけた。

 この記者は、エジプトの首都カイロ(Cairo)を拠点とする放送局アルバグダディヤ(Al-Baghdadia)の通信員でテレビ・ジャーナリストのムンタゼル・ザイディ(Muntazer al-Zaidi)氏だった。

 ブッシュ大統領はとっさに身をかわし、靴は2個とも当たらなかったが、ザイディ氏はボディガードらによって床に組み伏されて取り押さえられ、会見場からひきずり出された。

 ドレイミ弁護士はザイディ氏の行動について「イラクとアフガニスタンで200万人もを殺した犯罪人の暴君ブッシュに対し、イラク人としてできる最低限のことがあれだった」と擁護し、「ザイディ氏は即時釈放されるべきだ」と述べた。(c)AFP