【12月15日 AFP】中国・上海(Shanghai)で、カラフルな衣装を身にまとった家族がウィンドウショッピングをしている。犬たちも、デニムの服を着せてもらっている。だが30年前の1978年、この通りには紺、グレー、茶色の人民服であふれ返っていた。

 改革開放路線への転換から30年。その変化が目に見えて明らかなのは、一般市民の服装をおいてほかにはないだろう。

 フランスのファッション誌「L'Officiel」中国版のエディター、1972年生まれのWang Shaohuiさんは「1978年当時、この国にファッションというものはなかった。僕が小さかったころ、みんなが黒やオリーブ色の軍服のようなものを着ていたというのは覚えている」と話す。

 かつて人民政府の役員だったChen Jinhua氏は、回顧録の中で「ファッションは、孤立していた中国を開放するのに一役買った」と述べている。同著によると、1970年代、全国民の衣食をまかなうために綿と穀物の栽培が奨励された。しかし農地は非常に限られていたため、綿に力を入れると穀物の生産が減って食糧が不足する事態になりかねなかった。

 そうした事情もあり、西洋諸国との関係が改善されるなかで、合成繊維ポリエステルが主流になっていったという。

「この30年間で、中国以上の変化を経験した国はない」と、演劇を学ぶ22歳の学生、Ma Yueさんは語る。Maさんは現在、改革前の生活を再現する「Back to 1978」なるプロジェクトを手伝っている。プロジェクトの参加者は、目の粗い色あせたシャツを着せられ、生活必需品と交換するための配給券を手渡される。

 当時、ボタンダウンのシャツは高級品で、半年分の配給券でようやく手に入る代物だったという。そこで当時は、シャツのえりだけを首に付ける人も少なからずいたという。(c)AFP/D'Arcy Doran