【12月15日 AFP】(一部更新、写真追加)14日、イラクを電撃訪問したジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領が、記者会見中にイラク人記者から靴を投げつけられ、「いまだに衰えぬ敵意」に直面する一幕があった。

 ブッシュ大統領はバグダッド(Baghdad)で、米軍がイラクに駐留する根拠となる米軍地位協定に、ヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相とともに署名。その際マリキ首相と臨んだ共同会見の中で、エジプト・カイロ(Cairo)の放送局アルバグダディヤ(Al-Baghdadia)のムンタゼル・ザイディ(Muntazer al-Zaidi)記者が、「別れのキスを受け取れ、この野郎」と罵声を浴びせながら、自分が履いていた左右の靴を投げつけた。

 うち片方は大統領を直撃したが、大統領は身をかがめたため、靴は背後の星条旗とイラク国旗に当たり、事なきを得た。この記者はただちにボディガードらに取り押さえられ、会見場から引きずり出された。 

 アラブ世界では、靴底で踏まれることは最大の侮辱と考えられている。2003年4月にサダム・フセイン(Saddam Hussein)政権が崩壊してバグダッドの銅像が倒されたとき、多くの住民が靴底で像を踏みつけたことは記憶に新しい。

 ブッシュ大統領は、「なんてことはないさ」と一笑に付し、「今の靴のサイズは10だったよ」とジョークを言う余裕も見せた。後に、「あの男の目的が何だったのかは知らないが、動揺なんかしちゃいないね」とも話した。

 今回の訪問は、2003年3月のイラク進攻後4回目で、大統領任期中としては最後となる。(c)AFP/Olivier Knox