【12月11日 AFP】(一部更新)ギリシャ全土に広がった暴動の発端となった、警官による15歳少年の射殺事件で、アテネ警察当局は10日、事件に関与した警官2人のうち1人を殺人と拳銃の違法使用の容疑で身柄送検した。アテネ(Athens)の予審判事は同警官の拘置を命じた。

 身柄送検されたエパミノダス・コルコネアス(Epaminondas Korkoneas)容疑者(37)は6日、アテネ旧市街Exarchia地区の路上で30人ほどの若者グループともめ、発砲。アンドレアス・グリゴロプーロス(Andreas Grigoropoulos)さん(15)を死亡させた疑い。

 取調べに対し、コルコネアス容疑者は、若者らが「殺してやる」と叫びながら火炎ビンや石などを投げつけてきたため、正当防衛で発砲したと供述している。

当局の検視結果および被害者の家族が依頼した解剖医の所見では、グリゴロプーロスさんの体内から見つかった銃弾は「やや変形しており、体内に入る前に硬質の表面に当たったことがわかる」という。

また、同容疑者の同僚警官、バシリオス・サラリオティス容疑者(Vassilios Saraliotis, 31)も、殺人従犯の疑いで身柄送検された。

 5日目に突入した暴動は、コスタス・カラマンリス(Kostas Karamanlis)首相内閣の経済政策への不満や相次ぐ不祥事に対する怒りも加わり、全国に拡大している。

 各地で治安部隊とデモ隊の衝突が続いているほか、ギリシャの2大労組はゼネストを呼びかけ、航空会社がフライト数十便の欠航を決めた。銀行や学校、病院なども一部が閉鎖している。

 北部テッサロニキ(Salonika)では大学が占拠され、商店80店舗と銀行14行に被害が出た。

 ギリシャ国外でも、トルコ・イスタンブール(Istanbul)のギリシャ領事館前でトルコの左翼活動家数十人が抗議デモを行ったり、ロシア・モスクワ(Moscow)、イタリア・ローマ(Rome)でもギリシャ大使館に火炎ビンが投げ込まれている。(c)AFP/John Hadoulis