【12月8日 AFP】富豪の妻で28年もの間、昏睡(こんすい)状態にあったマーサ・フォン・ビューロー(Martha von Bulow、愛称サニー、Sunny)さんが、76歳で死亡した。マーサさんが入院していたニューヨーク(New York)市内の介護施設が7日、明らかにした。

 マーサさんは、オーストリアの貴族でプロテニス選手だったアルフレート・フォン・アウアースペルク(Alfred von Auersperg)氏と結婚したが離婚。その後、デンマーク生まれの富豪、クラウス・フォン・ビューロー(Claus von Bulow)氏と再婚した。

 しかしマーサさんは1980年にロードアイランド(Rhode Island)州ニューポート(Newport)にある邸宅内のバスルームで倒れ昏睡状態となり、そのまま意識が回復することなく、植物人間状態のまま生涯を終えた。

 これについては、夫のクラウス氏がマーサさんの財産を手に入れ女優の愛人と結婚するために、低血糖症のマーサさんにインシュリンを投与し殺害を企てたとして有罪判決を受けたが、1985年の二審で無罪となっている。

 全国の注目を集めたこの裁判の経過は、クラウス氏側の弁護を務めたアラン・ダーショウィッツ(Alan Dershowitz)氏の原作をもとに1990年、グレン・クローズ(Glenn Close)とジェレミー・アイアンズ(Jeremy Irons)の主演で『運命の逆転(Reversal Fortune)』として映画化された。

 クラウス氏は裁判後、マーサさんと離婚し財産権を放棄することに同意し、現在は英国に住んでいる。(c)AFP