【12月8日 AFP】共産主義国家ベトナムで、インターネット普及に伴うブログ人気の拡大に危機感を感じた政府が、新たなブログ規制の整備に向け、米インターネット検索の大手2社、グーグル(Google)とヤフー(Yahoo)の協力を要請したことが明らかになった。

 地元紙「タンニェン(Thanh Nien)」がゾー・クイ・ズアン(Do Quy Doan)副情報通信相の話として2日、報じたところによると、政府は今月末の法制化を目指しインターネットに関する新規制の草案をまとめている。このなかで、政府はブログについて、政治、宗教、社会問題に関する個人の意見を流布する場ではないし、あくまでも個人日記のネット版の域を超えないよう定める方針だという。

 新規制の目的について、副情報通信相は「ブログに関する違反行為を取り締まる法基盤の整備だ」と述べ、最適かつ健全なブログ環境を構築するため、グーグルとヤフーに協力を求めたことを明らかにした。

 ベトナムでは近年、中高生から新聞記者まで、幅広い層の間で自由に意見を共有できるブログが大流行している。こうした現象は、事実上の共産党一党独裁による厳しい社会統制が敷かれてきたベトナムでは、前代未聞の現象だ。

 ネット上の話題は、もっぱら身の回りの出来事やごく個人的な差し障りのない話題がほとんどだ。だが、ジュウ・カイ(Dieu Cay)のブログネームで国内で人気を誇った、グエン・ホアン・ハイ(Nguyen Hoang Hai)さんが9月、税金に関する不正行為で2年6月の実刑判決を受けるなど、政治分野の話題に踏み込み、当局の怒りをかうブロガーも少なくない。

 政府が検討中の規制案について、国営バックホア・インターネット・セキュリティ・センターのグエン・トゥ・クアン(Bach Khoa Internet Security Centre)所長は前月、違反行為に対する処罰は、罰金1万2000ドル(約111万円)から最高で12年の禁固刑となる見込みだと話している。これについて同氏は、「罰則としては厳しい部類だが、故意に不適切な情報の流布を試みるブロガーに対しては妥当な処分だ」との見方を示した。

 しかし、米英大学の専門家らを中心としたネット検閲の監視団体「オープンネット・イニシアティブ(OpenNet Initiativ)」は、ベトナム政府は、ネット検閲に多層的な規制網をかけ、ネット上の監視を拡大していると警告している。(c)AFP