【12月1日 AFP】タイで大規模な反政府行動を続ける反タクシン元首相派の市民団体「民主市民連合(People's Alliance for DemocracyPAD)」は1日、8月下旬から占拠していた首都バンコク(Bangkok)の首相府から3か月ぶりに退去を開始し、同派が占拠するバンコク(スワンナプーム)国際空港(Suvarnabhumi Airport)とドンムアン(Don Mueang)空港に移動を始めた。
 
 PADの指導者たちは、ソムチャイ・ウォンサワット(Somchai Wongsawat)首相の退陣を求めているが、占拠していた首相府に30日未明、手投げ弾が投げ込まれ、支持者2人が死亡、数十人が負傷した事件に懸念を表明した。

 PADを中心とする反政府派の支持者らは、2007年末の新憲法下での総選挙で第1党となり、2008年1月に発足した与党・国民の力国民の力党(People Power PartyPPP)を中心とする連立政権は、2006年の無血クーデターで追放されたタクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相の継承政権にすぎないと反発し、5月に退陣要求デモを開始。8月下旬から首相府を占拠していた。

 首相府から数キロの地点では前日から、政府支持派の団体がキャンプを張り対抗する行動を開始していたが、反政府派が首相府からの退去を始めたことで、両派間の衝突の危険はある程度緩和されるとみられる。

■空港の占拠は続く

 一方、反政府派による空港の占拠は続いている。タイ当局は、空港に足止めされた航空機の移動を認めるよう求めていたが、反政府派はこれを受け入れ、この2日間でスワンナプームに駐機していた旅客機88機のうち37機が乗客を乗せずに同空港から移動した。残る51機もまもなく出発できるだろうと、当局関係者は語っている。

 タイ空港公団(Airports of ThailandAOT)の広報によると、各航空会社は近く同公団に連絡をとり、航空機を移動させるものとみられる。しかし反政府派は、旅行客が同空港から出発することは依然として認めていない。(c)AFP/Anusak Konglang