【12月1日 MODE PRESS】ニューヨークとパリを舞台に、30代の女性の揺れる感情をリアルかつロマンチックに描いたラブストーリー『ブロークン・イングリッシュ(Broken English)』が12月13日より公開される。初の長編作品となったゾエ・カサヴェテス(Zoe Cassavetes)監督に話を聞いた。

■インタビュー:ゾエ・カサヴェテス

―主人公のノラについて

「私はずっと1人なの?何で私だけ?」という悩みは、普遍的なもの。周りの友人や自分自身、男性も含めたみんなが同じことで思い悩んでいると思います。その時の自分の姿を正直に描きたいと思いました。

あとは年齢もカギです。20代はみんな駆け回っているけれど、30代になると若くても責任が出てくるし、先のことも考えなければいけなくなる。可能性がたくさんあって選択肢も多い今の時代だからこそ、かえって悩みが増えていくんです。心を閉ざしてしまったとき、人はどうやって乗り越えればいいのか、そんなことを考えて作りました。

―ニューヨークとパリという2つの舞台について

NYは元々私が住んでいた大好きな街。人種のるつぼだし、街が持つエネルギーが魅力的。スピードが非常に早いから、仕事をしたり物事を合理的に進めるのには向いていると思います。ノラも仕事と恋愛に追われています。

対してパリは、多くの人が「愛の街」として夢に描くように、創造性を謳歌している気がします。歴史のある街ですから。パリは土地的にはNYに比べて実はとても小さいけど、風景や光や人々の感じがとてもすばらしく、時間がゆっくりと流れている。だから改めて自分自身を見つめなおすことができると思います。

―実の父、故ジョン・カサヴェテス(John Cassavetes)監督について

こういう環境で生まれ育ったことは、映画作家としてとてもありがたいことです。父は、大変魅力的でエネルギーに溢れ、知的でビジョンがあり、時代の一歩先に行く人でした。だからこそ、人が目にしたことのないような映像作品を作ることができたのだと思います。

父を亡くした18歳の時は、自分が映画監督になるとは思っていませんでした。けれど、彼の反骨精神、映画作りの根底のスピリットを受け継いでいるとするならば、それを持ち続けていきたいと思います。私が興味を持っているのは、人間性。間違いなく、父もそこに興味を持っていたと思います。父の素晴らしいところは、女性が持つ混乱や痛みを理解していたところ。でも、全ての根底には愛があるのです。

―本作に出演した女優、ジーナ・ローランズ(Gena Rowlands)について

本当に最高でした。彼女を演出したくない監督なんていないと思います。映画を作ると決まったとき、彼女に脚本を渡して出演のお願いをしました。電話で役柄についてのアドバイスももらいました。実際の彼女は「ボーイフレンドは?」と聞いてくる映画のキャラクターとは正反対。偉大な女優を演出できただけでなく、実際の母親と仕事ができるなんて、本当にすごい体験でした。

―ソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)等同世代で活躍している監督について

ソフィアとジェームズ・グレイ(James Gray)は同世代で本当に素晴らしいと思う2人です。映画を変えようと日々努力している彼らと一緒に何かができるのは、とてもエキサイティングなこと。特にソフィアには、今回とても助けられました。映画作りの技術的なことや苦労、ユーモラスなことを話し合い相談し合える友人です。

―日本の観客へのメッセージ

撮影しているときは、他の文化圏の人がわかってくれるのか、という不安がありました。でも、恋愛の苦労は世界中の女性に共通しているようですね。日本にきて驚きました。パートナーは自分を映す鏡のようなもの。頭でっかちになって、がつがつしていたら、人は近づいてこない。まず自分自身を受け入れ、好きになることができれば、常にリラックスして人と接することができる。そうすれば、きっと自分にぴったりな人が出てくるんだと思います。映画を見に来てくれた人が、音楽でもファッションでも、ストーリーでも、何か気に入ってくれる部分があったら嬉しいですね。(c)MODE PRESS

【詳細情報】
12月13日(土)より、恵比寿ガーデンシネマ・銀座テアトルシネマ他全国公開
配給:ファントム・フィルム
公式サイトはこちら
◆特集:映画『ブロークン・イングリッシュ』へ