【11月19日 AFP】サッカーアルゼンチン代表の監督を務めるディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)氏は18日、1986年W杯メキシコ大会でイングランド代表を敗退に追い込んだ自身の「神の手」のゴールに対し、なぜテリー・ブッチャー(Terry Butcher)氏が悪意を抱き続けているのか理解できないと語った。

 同大会の準々決勝で敗れたイングランド代表のディフェンダー(DF)で、現在はスコットランド代表のアシスタントコーチを務めているブッチャー氏は17日、マラドーナ氏の行為を決して「許さないし忘れない」と語り、19日に行われるアルゼンチンとスコットランドの国際親善試合では、対面してもアルゼンチン代表の新監督とは握手を交わさないことを明らかにしている。

 これに対するマラドーナ氏の反応は、上品さ(彼はキスして仲直りできたら幸せと語った)にわずかに「テリーって誰?」という態度が入り混じり、少なくとも観察眼のあるスコットランド人の目には、かつての敵を再び惨めな姿に映させていた。
 
 マラドーナ氏は「なぜブッチャーがこういう態度なのからない。もし構わなければ、彼にあいさつしたい。彼は彼の人生を歩んで行くし、私も私の人生を歩む。この件で睡眠を失うようなことはないだろう。もしブッチャーが私の手を握らなくても、私は明日も生き続けるだろう」と語っている。

 また、マラドーナ氏はイングランドが1966年W杯の決勝で旧西ドイツに勝てたのは、ゴールラインを越えていなかったジェフ・ハースト(Geoff Hurst)氏の得点によるものだと指摘し、全てのイングランドの批評家を非難している。

 マラドーナ氏は「イングランドは1966年のW杯をラインを越えていなかった得点で制した。だからがらくたを持ち出して私を判断するのは公平ではないと思う」と語っている。

 マラドーナ氏のサッカーの才能、いたずらな性格、1986年にイングランドを打ち砕いた役割の全ては、マラドーナ氏がスコットランドで尊敬を集める一因となっており、1979年に自身が代表初得点を記録した試合会場のハムデン・パーク(Hampden Park)では間違いなく温かく迎えられるだろう。

 48歳のマラドーナ氏は、当時を思い出し「私にとってはとても特別なこと。国際舞台でのキャリアをスタートし、初得点を決めたのはここだからね。明日(19日)夜はスコットランドのファンに見応えのある試合で恩返しできればいいね」と語っている。(c)AFP/Mark Sugden