【11月18日 AFP】元サッカーイングランド代表のテリー・ブッチャー(Terry Butcher)氏は、1986年W杯メキシコ大会でイングランド代表を敗退に追い込んだ現アルゼンチン代表監督のディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)氏の「神の手」でのゴールを未だに許してはいない。

 ブッチャー氏とマラドーナ氏は、19日にハムデン・パーク(Hampden Park)で行われるスコットランド対アルゼンチンの国際親善試合のタッチライン際で顔を合わせることになる。イングランド代表ではセンターバックを務めたブッチャー氏は現在スコットランド代表のアシスタントコーチを務めており、一方のマラドーナ氏は19日の試合で代表監督として初陣を迎える。

 W杯メキシコ大会準々決勝でアルゼンチンはイングランドに2-1で勝利した。この試合で2ゴールを挙げたマラドーナ氏の2点目は、イングランドの選手を単独で5人も抜き去った素晴らしいドリブル突破から生まれたものだったが、先制点を奪った場面でマラドーナ氏は、ヘディングをすると見せかけ、ゴールを守っていたピーター・シルトン(Peter Shilton)氏の前で手を使ってゴールを決めた。しかしながら、主審はこのプレーを見逃し、ゴールを認めてイングランドの選手の憤慨を誘った。さらにマラドーナ氏は先制点が「神の手」によるものだったとのちに語り、イングランドの選手やファンから更なる怒りを買った。

 ブッチャー氏は英タイムズ(The Times)紙に対し、準々決勝の直後にイングランドの選手たちがマラドーナ氏に暴行を加えようとしていたことを明らかにした。

 ブッチャー氏は「試合後、マラドーナは薬物検査室で皆とハイタッチをかわし、大声を挙げ、叫んでいた。その間に我々は、そこに座って彼をどう打ちのめそうかと話し合っていたんだ。未だに心がうずくし、彼は自分のしたことを本当に認めてはいない。彼は両腕を上げ、その神の手を上げ、『そう、私は犯してはいけないことをした』と言ったことも無い。イングランドの選手に関してならば、認める発言をするだろう」と語っている。

 また、ブッチャー氏とはイプスウィッチ・タウン(Ipswich Town)時代のチームメイトで、現スコットランド代表監督ジョージ・バーリー(George Burley)氏は「私がこれまで言ってきたように、これからも彼(マラドーナ氏)が私が見た中で最高のサッカー選手と言い続けるだろう。しかし、彼には間違いだったと正直に言ってもらいたい」と語っている。(c)AFP