【11月10日 AFP】「見つけたぞ!」――アフガニスタン中部バーミヤン(Bamiyan)遺跡群で発掘作業を行っていた、考古学者のアンワル・ハーン・ファイズ(Anwar Khan Fayez)さんは、壕から飛び出して叫んだ。

 1500年前に建立された2対の大仏像が、偶像崇拝を禁じた旧支配勢力のイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)により爆破されてから7年。フランスとアフガニスタンの発掘チームが、全長19メートルの寝仏像の一部を9月に探し当てた。地中に埋もれていたため、タリバンの目を逃れられたとみられる。

「仏像の一部が現れた瞬間、発掘チーム全員に幸福感がみなぎった。長年の労苦がついに報われたのだ」と、ファイズさんは喜ぶ。

■別の仏像を探査途中、偶然に発見

 フランスを拠点に活動するアフガニスタン人考古学者、ゼマルヤライ・タルジ(Zemaryalai Tarzi)さんが率いる発掘チームが探し求めていたのは、実は7世紀に同地を訪れた唐代の僧、玄奘三蔵(三蔵法師)が「大唐西域記」に記した全長300メートルの巨大涅槃(ねはん)像だった。今回の寝仏像は、その過程で偶然、発見されたものだ。

 タルジさんは30年近くも前から、その巨大涅槃像の場所の見当をつけていた。しかし、数十年におよぶ紛争や1996年から5年間続いたタリバン政権支配で発掘作業が中断されたうえ、2001年3月にはタリバンがバーミヤン石窟の世界最大の大仏立像2対を破壊してしまった。

 タルジさんらが受けた衝撃は大きかったが、同年、米軍の空爆などによりタリバン勢力が撤退すると、寝仏像の発掘作業を再開。しかし、発掘チームが9月に発見したのは、探し求めていた巨大涅槃仏像ではなかった。それは、これまで存在が知られていなかった新たな寝仏像の指や手のひら、腕の一部、胴体部、台座だったのだ。

「この地域で発掘を開始して以来、最大の発見だ」と、発掘チームの一員、アブドゥル・ハミード・ジャリア(Abdul Hameed Jalia)さんは興奮する。「始めに掘り当てた物体が何なのか、最初はわからなかった。だが堀り進めていくうちに、脚の一部だと判明し、ファイズが歓喜の声を上げ、われわれのところへ走り込んできたんだ」

■来夏にも発掘作業再開、残像発見へ

 ファイズさんによると、おそらく9世紀ごろ同地を支配したイスラム勢力により、頭部など仏像の多くの部分が破壊されているという。全体像は不明だが、これまでに発掘された部分から、全長は19メートル程度とみられる。

 仏像の発掘現場は、現在、アフガニスタンの厳しい冬の寒さや盗掘から仏像を保護するため地中に埋まっている。タルジさんは、来夏にも発掘作業を再開し、仏像の残像を発見したいと語っている。

 一方、発掘チームの当初の目的だった300メートルの涅槃仏像についても、タリバンが破壊した東西大仏石窟の中間から、仏像に至るとみられる伽藍跡がすでに発掘されており、その存在が明らかになりつつある。このほか、バーミヤンでは日独の合同チームが、破壊された東西大仏像の復元作業に取り組んでいる。(c)AFP