【11月5日 AFP】(一部訂正)4日行われた米大統領選に勝利した民主党のバラク・オバマ(Barack Obama)氏の主な公約と主張をまとめた。

■経済

・平均年収が25万ドル(約2500万円)を超える世帯への増税と、勤労者世帯および年収7万5000ドル(約740万円)未満の世帯を対象とした減税。全米の95%の世帯の税負担は軽くなるか現状維持になるとしている。

・主に失業対策として500億ドル(約5兆円)の緊急経済対策。

・サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題が表面化した早い時期から、住宅ローン破産による差し押さえに90日のモラトリアム(支払い猶予)を提案。住宅所有者に対する10%の広範な抵当融資。これにより大半が年収5万ドル(約495万円)未満の住宅所有者約1000万人が1年に平均500ドル(約5万円)を手にすることになるとしている。

・住宅金融専門会社の監督強化。

■イラク問題

・2002年にイラク戦争に反対の投票をしたことをアピール。1か月に1-2旅団のペースで、16か月かけて2010年半ばまでに米軍を撤退させることを主張。

・一部の部隊はイラクに残し武装勢力の掃討と米国民の保護にあたらせるが、イラク国内に米軍の恒久的な基地を建設することには反対。

・米国はイラク政府に政治的和解を働きかけるべきで、地域の安定のためイラク周辺国との外交も強化すべきとしている。

■エネルギー

・2050年までに温暖化ガスの排出量を80%削減することを主張。クリーンエネルギーの研究開発に今後10年間で1500億ドル(約15兆円)を投入。当初反対していた米国沿岸の石油掘削は支持に転じた。

・10年以内に中東とベネズエラから輸入する原油を減らし、環境分野で500万人の雇用を創出。

・2015年までに米国のプラグインハイブリッドカーを100万台に。

■医療保険

・全ての米国民が保険でカバーされることを目指す。基本的に任意加入だが、子供の保険加入を親に義務づける。

・保険会社に既往症のある人の保険加入を認めるよう促し、零細企業が全従業員を保険に加入させられるよう税の還付を行う。

■イラン

・イランは中東と米国に対する深刻な脅威であるとの認識のもと、条件なしでイランと実務者レベルの交渉から始めることを支持。核開発とテロ支援の放棄と引き替えに、世界貿易機関(World Trade OrganizationWTO)の加盟支持や、イランへの投資の促進、国交正常化などを行う。

■中東とイスラエル

・基本的にイスラエルを支持。ハマス(Hamas)とヒズボラ(Hezbollah)がテロを続け、イスラエルの生存権を認めなければ、両武装組織の孤立化を図る。中東和平の妨げになるとしてパレスチナ自治区へのユダヤ人入植を批判。パレスチナの穏健派を支援する政策を支持。

■ロシア

・ロシアの「グルジア侵攻」を強く非難し、ロシア政府には引き続き透明性と民主主義を求める。ロシアが周辺地域への影響力復活を狙っている状況に対応する。

■移民政策

・国境管理を強化する一方で、米国で暮らしている1200万人の不法移民を一定の条件のもとで合法化する。

■貿易

・北米自由貿易協定(North American Free Trade AgreementNAFTA)に批判的で、再交渉するとしている。「自由貿易」協定には労働者と環境の保護規定を盛り込むことが必要だと主張。

(c)AFP