【11月2日 AFP】チリ公共事業省水資源総局は1日、首都サンティアゴ(Santiago)市で使用する水の7割を供給している氷原が、今後50年以内に消滅する恐れがあると警告した。

 同総局がまとめたチリの氷河に関する報告書によると、エチャウレン(Echaurren)氷原は毎年最大12メートルずつ後退しているという。

 エチャウレン氷原は農業用水も供給しているマイポ(Maipo)川やその支流の水源で、サンティアゴ一帯の主要な水がめになっている。現在の速度で氷原が減少した場合、エチャウレン氷原や、サンティアゴ付近の小規模な氷河は50年以内にすべて消滅することになる。

 水資源総局のアントニオ・ベルガラ(Antonio Vergara)氏は、水不足が起きた場合、新たな水資源を求めてチリ中部で大規模な人口移動が起きる可能性もあると警告した。

 首都サンティアゴの東50キロ、アンデス山脈の西側斜面にあるエチャウレン氷原は世界でもっともよく調査された氷河の1つで、ベルガラ氏によれば「世界の気候変動研究における象徴的な存在」になっているという。(c)AFP