【10月30日 AFP】ロンドン(London)名物の赤いバスの横腹に、近い将来、「神様は多分いない。くよくよするのはやめて、人生を楽しもう」という無神論者のキャンペーン広告がお目見えするかも知れない。

 コメディー作家のアリアン・シェリン(Ariane Sherine)氏(28)が考案したこのスローガンは、一部のロンドンバスの横腹に掲載されている「神を拒む者は地獄で永遠に苦しむことになる」とのキリスト教の一連の警告メッセージに対抗するもの。

 シェリン氏は、英国ヒューマニスト協会(British Humanist AssociationBHA)と無神論者リチャード・ドーキンス(Richard Dawkins)教授の協力のもと、広告費5500ポンド(約88万円)を集めるために、賛同者から1口5ポンド(約800円)で寄付を募った。既に目標額に達しており、来年1月にも複数のロンドンバスの横腹に掲載される予定だ。

 BHAのハンネ・スティンソン(Hanne Stinson)氏は、「わたしたちの周りには、キリストによる救いを説いたり、永遠に苦しむと脅したりするポスターであふれている。だから今回の広告は、新鮮な空気を提供することになり、歓迎されると確信している」と話す。

 ドーキンス教授は、「ロンドンバスに別のスローガンを掲げようというこのキャンペーンは、人々に考える機会を与えるものだ」と指摘する。「考えること自体、宗教では良くないこととされていますがね」

 英国国教会の広報担当者は、「いかなる宗教団体、思想団体も、適切な手段を用いた言論の権利は擁護されるべき」と前置きした上で、「キリスト教は、人々を不安がらせたりするものではなく、人生を楽しんではならないとも言っていない。むしろその逆で、私たちを解放し、この世を正しく見させてくれるものだ」と反論する。

 ロンドン交通局(Transport for London)は、AFPに対し、現時点ではそういった広告の掲載申請はないとしている。掲載にあたっては、広告に関するガイドラインに適合しているかの審査があるという。(c)AFP