【10月16日 AFP】(一部更新、写真追加)米大統領選の共和党候補ジョン・マケイン(John McCain)上院議員(72)と民主党候補バラク・オバマ(Barack Obama)上院議員(47)は15日、ニューヨーク(New York)州ヘンプステッド(Hempstead)のホフストラ大学(Hofstra University)で、3度目にして最後の公開討論会に臨んだ。

 会場に姿を現した両候補者は握手を交わし、机を挟んで向かい合うかたちで席についた。米国がここ数十年で最悪といわれる金融危機に見舞われる中、最新の世論調査でマケイン氏はオバマ氏に14ポイント差をつけられている。

 本選を19日後に控えて劇的な盛り返しをみせたいマケイン氏は、オバマ氏と1960年代の過激派組織「ウェザーメン(Weathermen)」の創設者ウィリアム・エアーズ(William Ayers)氏との関係を激しく攻撃。オバマ氏の税制政策についても「階級闘争」にすぎないと批判した。

 一方のオバマ氏は平静を保ちつつ、同日の米ニューヨーク(New York)市場で景気後退懸念からダウ工業株30種平均(Dow Jones Industrial Average)が取引時間中としては史上2番目の下げ幅を記録したことから有権者の目をそらそうとしているとして、マケイン氏を非難した。

■劣勢のマケイン氏、オバマ氏を激しく攻撃

 マケイン氏は、エアーズ氏のような「年老いた用済みのテロリスト」のことは気にしないとしつつ、同氏とオバマ氏との関係については、「ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員もあなた(オバマ氏)との討論会で述べていたように、われわれは十分に知る必要がある」と主張した。

 また、低中所得層のために活動する地域密着型の草の根組織「エイコーン(ACORN)」が、いくつかの州でオバマ氏支持の有権者登録リストに偽名を追加したりするなどしている問題でも、オバマ氏を批判した。

 さらに、マケイン氏をジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領と関連付けようとするオバマ氏の選挙戦術について、「わたしはブッシュ大統領ではない。ブッシュ大統領に対抗したかったなら、あなたは4年前に出馬すべきだったのだ」などと述べ、自身が過去にどれだけ共和党の方針に反対してきたかを示すとともに、オバマ氏の経験不足と対比させた。

 これに対しオバマ氏は、マケイン氏がエアーズ氏とエイコーンについて事実をひどくゆがめていると反論。経済的な不安が広まっている時期に、共和党陣営は「100%ネガティブ」な論調で有権者を失望させていると訴えた。

 両者は、エネルギー政策、税制、経済、妊娠中絶などについても激論を交わした。

■討論後の世論調査はオバマ氏の圧勝

 討論会後、両陣営はともに自陣の勝利を強調したが、終了直後に行われた米テレビ局の世論調査では、オバマ氏が勝利したと見る人が圧倒的多数を占めた。

 CNNテレビの調査によると、80%が共和党はこれまでと同じ攻撃を繰り返したと回答。マケイン氏に好感を持ったと答えた人が22%だったのに対し、オバマ氏のほうが好感が持てたと答えたのは70%に上った。

 また、討論会の勝敗については、オバマ氏勝利が58%、マケイン氏勝利は31%だった。

 CBSテレビの調査でも、53%-22%で民主党に軍配が上がった。FOXテレビが浮動票層を対象に行った調査でも、オバマ氏が優勢だった。

 失業や健康保険などをめぐる不安が有権者の間で高まる中、マケイン氏のネガティブ・キャンペーンは裏目に出たとみられる。(c)AFP